2010年11月22日月曜日

電子書籍奮戦記  萩野正昭(ボイジャー)

ボイジャーの萩野正昭さんの「電子書籍奮戦記」が新潮社から発売になった。発売日に早速読み始めたのだけれど、とてつもなく感動的な本だった。
もちろん、それは僕が萩野さんを存じ上げていることもあるし、そこに登場するレーザー・ディスクのことや、登場する当時のMITにたまたま番組で取材に いっていたこと、最初のマルチメディアコンテンツの「ベートーベン第九交響曲」の日本語版をつくるにあたって翻訳をお手伝いしたことなど、記憶に残ること がたくさんあるからなのだけれど、それにしても萩野さんの一途な思いと、等身大の経営哲学、その一貫性などが、いまの社会に明らかに足りない「理念」みた いなものが見事に貫かれているからで、読みすすむにしたがって、忘れていた清々しい気持ちにとらわれる自分を発見したのだった。

電子書籍奮戦記
萩野正昭


1 てんやわんやの毎日
どの視点に立つか?
インターネットの歴史
小さなものためのメディア
電子書籍とは
市場規模を見る
馬車と自動車
電子書籍を成り立たせるためのもの
電子書籍の流通とは
ボイジャー

2 異聞マルチメディア誕生記
ボブ・スタインからの電話
映画がはじめて本になるかもしれない
「ちょっと普通じゃないね」
ある夜のパーティー
エキスパンドシネマ
レーザーディスクの可能性

3 メディアを我々の手に
東映教育映画部
時間よ止まれ
パイオニア
吟遊詩人たる決意
へんてこりんなもの
ハイパーカード登場
砂の上の館
マルチメディア史に残る運命的出会い
電子書籍の誕生
振り返るとき
飛び降りる覚悟

4 本ではなく、読むを送る
ボイジャー・ジャパンの船出
テキストが最前線
日本語エキスパンドブック
新潮文庫の100冊
アリーンの思い出
本とコンピュータ
すべてがみんな飯の種
青空文庫誕生
無給社外スタッフを組織する
「必要性」が本を生み出す
「本」ではなく、「読む」を送るんだ
「電子文庫パブリ」「理想書店」開店
無駄にした一年
体質改善

5 ハードに翻弄される
侮っていた携帯電話
しかし・・
次々現れる電子書籍端末に翻弄される
きな粉とぼた餅
電子出版の哲学
視覚障碍者に学ぶ

6 電子出版の未来
インターネット・アーカイブ
ノー・アマゾン、ノー・アップル、ノー・グーグル
覇権主義に対抗する
たどり着いた相手先
フォーマット統一とボイジャーの課題
「映画と本が一緒になる」の到達点
本は自由なメディア

書籍とは、私たちに欠かせぬものであり、それは、紙か紙でないかということではなく、あくまで「読む」という行為なのだということを、あらためて思いいたる。

しかし、何より萩野さんが、いちずに夢をきちんと見ているというところに、無性に魅かれるのだ。絶頂期のレーザー・ディスク社をやめ、ボイジャーを 起こし、そして苦節の時間がありながらも、しかし一度も大切な何かを見失うことなくここまでやってきたその彼の精神の崇高さ・・それでいていつ出会っても 情熱的で、いつもの彼の文体で飾らずに語りかけてくれる萩野さんを思い浮かべ、ただの美談ではない、謙虚で等身大の人間の尊さに深い感動を覚える。本来の 起業家精神のまさに神髄がここにある。

まだまだボイジャーの新しい地平の苦労はつづくかもしれないが、ひとまず、この半世紀が書けるところまできたボイジャーの歴史に「よかったね」と声をかけたくなった。

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2010年11月21日日曜日

ロッド・スチュワート~The great American songbook volume V ROD STEWART fly me to the moon

今年65歳のロッド・スチュワートの名曲カバー集の第5作。以前の4作に比べても文句なしの出来です。


The great American songbook volume V

ROD STEWART

こちらで一部試聴できます

1) That Old Black Magic
2) Beyond the Sea
3) I’ve Got You Under My Skin
4) What a Difference a Day Makes
5) I Get a Kick Out of You
6) I’ve Got the World on a String
7) Love Me or Leave Me
8) My Foolish Heart
9) September in the Rain
10) Fly Me to the Moon
11) Sunny Side of the Street
12) Moon River

人によっては、ロックのロッドを期待するむきもあるでしょうが、この落ち着いた趣のある歌いっぷりは、やはりある意味ロッド・スチュワートならではのも の。グラミーを受賞した第三作に比べ、ちょっと一本調子なところもあるけれど、気楽に楽しめるという意味では、申し分のない出来です。

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2010年11月20日土曜日

なんて軽やかなマヌーシュ・ギター・・ストーケロ・ローゼンバーク・トリオ 王子ホール

クラシック以外も、ちょっと風変わりな出し物があるのが王子ホールの素敵なところだが、今夜のマヌーシュ・ギターのローゼンバーク・トリオには、一曲ごとに、いやリードギターの1ブロックごとに拍手喝采の明るさにつつまれたホールだった。
ストーケロ・ローゼンバーグ・トリオ

1. MINOR BLUES
2. SUNNY
3. WEBSTER
4. NUAGES―HUNGARIA
5. READY’N ABLE
6. DOUBLE JEU
7. BODY AND SOUL
8. BLUE BOSSA
9. RELAXIN’ AT CAMARILLO
10. FOR SAPHORA
11. I WISH
12. STRANGE EYES
13. ARTILLERIE LOUDRE
14. SPAIN

【アンコール 】
LES YEUX NOIRS
MINOR SWING

オープニングからして粋。ベースのサニ・ヴァン・ミュレンがまずひとりはいってきて、リズムを奏でる。そこにしばらくして、リズム・ギターのモゼ ス・ローゼンバーグがやってきて軽やかな二重奏。そこにいよいよリード・ギターのストーケロ・ローゼンバーグが登場するやいないや、何の構えもなく弾きだ し、それが見事なトリオの演奏になる。

ストーケロ・ローゼンバーグ・・1968年生まれだが12歳にしてすでにデビューしているのでもはや芸歴30年の大ベテラン。ビレリ・ラグレーンの やや重量感のある音色もマヌーシュの魅力のひとつなのだが、それとも違って、とにもかくにも彼の身のこなし軽やかな音色には、誰もが圧倒されるだろう。本 当にうまい人は、こういう人をいうんだろうというくらいに、自由自在なのだ。

ジャンゴの曲ももちろん素晴らしかったが、「サニー」や「スペイン」などのジャズ曲も本当に見事。

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2010年11月19日金曜日

Apple MacBook Air 9 インチの記事はまだみたいだけど、創業時からのスティーブ・ジョブス(Steve Jobs)のすべてがまとめられたサイトができました

スティーブ・ジョブスの歴史ほかすべてがまとめられたサイトができました(→こちら)。考えてみれば、こういう網羅的な情報収集が得意なアメリカのこと、すでにあってもよかったサイトかもしれませんね。

ビデオのところには、胸にきゅーんとくるNextSTEPの紹介のビデオもありますし、写真のところは創業時の写真がたくさん・・・ああなつかしい。ジョブスのカリカチュアもあれば、彼の事業地の変遷図まで・・それはそれはもりだくさんです。

世の中のアップルファンのみなさま・・ぜひお楽しみください。

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2010年11月18日木曜日

カーリン・クロッグ フリースタイル( Karrin Krog Freestyle )

カーリン・クロッグのアルバムです。渋くてなかなかいいのです。


Freestyle

Karrin Krog
1.Just Holding On
2.Bansull
3.Sorrowful day
4.Imagination’s child
5.Freestyle
6.Karima Two
7.Open Sandwich
8.Raga variations
9.The red Dragon
10.Some time ago
11.Fran Landesman medley
12.Hymn to Joy

カーリン・クロッグは、1937年5月15日、ノルウェーのオスロ生まれ。60年代初頭から地元オスロやストックホルムで活動を始め、ヨン・クリス テン、ヤン・ガンバルク、アリルド・アンデルセンたちと共演しています。64年のフランス、アンティーヴ・ジャズ祭で世界デヴュー。同年に初アルバムも録 音。67年にはドン・エリスの進めで渡米し、ドン・エリスやクレア・フィッシャーと共演、録音。70年にはアルバート・マンゲルスドルフ、ジョン・サーマ ンらと万博で初来日。71年にはデクスター・ゴードン、77年にはアーチー・シェップとレコーディングも行っています。

柔らかくそれでいて芯がある声・・静かながらそこで繰り広げられる音楽世界は、見事に説得力があるのです。今回のこのアルバムは1986年のもの。 4曲目「Imagination’s child」、10曲目「Some time ago」など共演のJohn Surman のキーボードの柔らかな音色とあわせ、おしゃれなポップスとしておすすめです。

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2010年11月17日水曜日

JASMINE ジャスミン キース・ジャレット チャーリー・ヘイデン Keith Jarrett / Charie Haden

2007年、キース・ジャレットの自宅にあるケイヴライト・スタジオにて、ピアノ、ベースの2つの楽器だけで録音された見事なラブバラードの1枚。録音エンジニアにはマーティン・ピアソン、マスターはMSMスタジオで行われたとか。

JASMINE
Keith Jarrett / Charie Haden

1. For All We Know
2. Where Can I Go Without You
3. No Moon At All
4. One Day I’ll Fly Away
5. Intro – I’m Gonna Laugh You Right Out Of My Life
6. Body And Soul
7. Goodbye
8. Don’t Ever Leave Me


この作品の帯はこう書かれています。『Call your wife or husband or lover in late at night and sit down listen.』。
確かに、このコピーのようなアルバムです。かつての名盤『The Melody At Night, With You』の空気感に似た作品です。
アメリカン・クァルテット解散以来30年以上の時を経てのキース・ジャレットとチャーリー・ヘイデンの出会いが、まるで時間を感じさせない出来上がりになっています。
コピーにふさわしく、夜更けに愛する人と一緒に聴きたい素晴らしい1枚です。

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2010年11月16日火曜日

The CTI Jazz All-Star Band Montreux Jazz Festival 2009  

1971年のカリフォルニア・コンサートから約40年を経て、CTIオールスターズが復活した2009年スイス・モントリーのライヴ。あのクリード・テイ ラーがプロデュースを担当し、CTIの歴史を彩った名曲の数々を中心にしながらも、新世代シンガー、ジェイミー・カラムを起用。そしてミキシング、マスタ リングはルディ・ヴァン・ゲルダー。

Montreux Jazz Festival 2009
The CTI Jazz All-Star Band

こちらで一部試聴できます


アイアート(per)
トッド・バショア(as, bs, arr)
ランディ・ブレッカー(tp)
マーク・イーガン(el-b)
ビル・エヴァンス(ss, ts)
ニルス・ラン・ドーキー(p, key)
ヒューバート・ロウズ(fl, picc)
ラッセル・マロ-ン(g)
フローラ・プリム(vo) on M3
ジェフ・ティン・ワッツ(ds)

1. ミスター・クリーン
2. シュガー
3. ミストゥラーダ
4. アメイジング・グレイス
5. ビンベ・ブルー
6. アフリカとブラジル
7. ユーズ・ミー
8. ブルース・マーチ


おすすめは、なんといってもヒューバート・ローズ。アメイジング・グレイスではソロを堪能できるのですが、その息づかいは昔のあのローズそのもの。

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2010年11月15日月曜日

坂本龍一 大貫妙子 UTAU

2枚組のこのアルバム、1枚は、大貫さんと坂本さんのデュエット。2枚目は坂本さんのインストルメンタル。

あわせて、独特の世界観が見事に提示されています。

UTAU

RYUICHI SAKAMOTO / TAEKO ONUKI
坂本龍一 大貫妙子


こちら
で一部試聴できます


ディスク:1

1. 美貌の青空
2. Tango
3. 3びきのくま
4. 赤とんぼ
5. 夏色の服
6. Antinomy
7. Flower
8. 鉄道員
9. a life
10. 四季
11. 風の道

ディスク:2

1. 美貌の青空
2. Tango
3. koko
4. 赤とんぼ
5. 夏色の服
6. Lost theme – Femme Fatale
7. A flower is not a flower
8. Aqua
9. Geimori

大貫さんがどこかで語っていたが、以前より教授はピアノが上手になったとか。そのこともよくわかる出来上がり。先日のUstreamの中継を聴いたあとだからということもあるのですが、坂本教授の現在進行形の音楽的世界構造にとりこまれる感じがします。
いまのこの日本の雑踏のような社会的状況で聴くとその対極的な世界になぜかこころなごむような気がしてきます。おすすめです。

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2010年11月14日日曜日

何と88歳、トゥーツ・シールマンスのライブアルバム~TOOTS THIELEMANS EUROPEAN QUARTET LIVE

1922年生まれ、何と88歳、トゥーツ・シールマンスのライブアルバムです。録音は、2006,2007,2008年と、長年の、数々のステージでの演奏からのベスト・テイクとか。
最近、来日しないので心配していましたが、これを聴くなり、驚くほどにバリバリの現役だったことがわかり超安心します。

TOOTS THIELEMANS EUROPEAN QUARTET LIVE

Toots Thielemans: harmonica
Karel Boehlee: piano and synthesizer
Hein Van de Geyn: double bass
Hans van Oosterhout: drums


1 I Loves You Porgy
2 Summertime
3 Comecar De Novo
4 The Days Of Wine And Roses
5 Circle Of Smile (theme from: Baantjer)
6 Round Midnight
7 Les Feuilles Mortes
8 Theme from Midnight Cowboy
9 On Green Dolphin Street
10 Ne Me Quitte Pas
11 Bluesette
12 For My Lady

1曲目の「I LOVE YOU PORGY」から驚くほど聴かせてくれますし、イヴァン・リンスの「COME CA DE NOVO」に至っては、あのブラジルプロジェクトよりもさらに深みを感じさせるほどに、素晴らしい出来上がりです。
グルーブ感あふれるリズム、独特のメロディライン・・ハーモニカだからかもしれませんが、シールマンスのシールマンスならではの節回しが、年齢を感じさせるどころか、むしろいい感じに枯れた若々しささえ感じさせるから驚きです。
バックをつとめるカレル・ボエリー、ヘイン・ヴァン・ダヘイン、ハンス・ヴァン・オーシュタハウトゥという、カレル・ボエリー・トリオも素晴らしい出来です。それもある意味、当然で、カレル・ボエリーと言えば、あのヨーロピアン・ジャズ・トリオの初代ピアニスト。

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81歳のアンドレ・プレヴィンの弾き振り&N響 ガーシュイン~ピアノ・コンチェルト・イン・エフ は感動的な繊細さをもっていた

今日はN今日の定期公演Aプロ。単独券を購入して行ったお目当ては、プレヴィンの弾き振りのガーシュイン。

第1685回 N響定期公演 Aプログラム
指揮・ピアノ アンドレ・プレヴィン
コンサートマスター 堀 正文
武満徹:グリーン
ガーシュイン:ピアノ協奏曲ヘ調

プロコフィエフ:交響曲5番 変ロ長調

足をやや不自由にしていて、舞台袖からゆったりとでてきたマエストロ・プレヴィンは、指揮台にゆっくりと座ると、おもむろに、指揮棒を振り下ろす。
1曲目は、武満徹の短い作品。N響のくりだす弦の音色は見事に澄んでいて美しい。予想を超えて感動が胸にこみあげてきた。

2曲目はいよいよ、お目当てのガーシュインのピアノ・コンチェルト。プレヴィンの体の不自由さを思うと、とても弾き振りは困難に思えたのだが、はじ まると大違い。なんと繊細なピアノの音色が軽やかにホール中に響く。コンパクトに芯のある音色を奏でるN響とプレヴィンの繊細で華麗なピアノは見事にマッ チして、これは楽しいピアノコンチェルト・イン・エフ。
予想をはるかに裏切る展開にわくわくの連続。第三楽章の終わり際には感動が全身におそってきた。

プロコフィエフは、全体に大きな音量を必要とする楽曲なのだが、NHKホールのつくりとして、ある量以上の音量になると定在波のようなちょっとノイズのようなこもった音がすることがあり、今回のこの曲もそのケース。ややもったいない感じが残る印象だった。
それにしても、プレヴィンは見事に健在。来春にはN響と北米ツアー公演も予定されているとか。

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2010年11月10日水曜日

エレクトロボップス・オブ・ビートルズ’80  ELECTRO-POPS OF BEATLES ’80 清水靖晃・笹路正徳・清水信之

80年にリリースされたビートルズのインスト・カヴァー集です。


エレクトロボップス・オブ・ビートルズ’80

ELECTRO-POPS OF BEATLES ‘80

清水靖晃/笹路正徳/清水信之

1. バック・イン・ザ・U.S.S.R.
2. ゲット・バック
3. イエスタデイ
4. プリーズ・ミスター・ポストマン
5. ミッシェル
6. レット・イット・ビー
7. ヒア・ゼア・アンド・エヴリホェア
8. サムシング
9. ア・デイ・イン・ザ・ライフ
10. ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード

清水靖晃さん、笹路正徳さん、清水信之さんと話題のアレンジャー3人がシンセサイザーやヴォコーダーを操っての、いわゆるエレクトロポップなアレンジにしあげたもの。

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2010年11月9日火曜日

1966 坂本龍一 RYUICHI SAKAMOTO

CD棚を整理していたら、坂本龍一さんのアルバムがいろいろでてきました。その中で、今日ご紹介するのは「1996」。1996年発売の1枚ですね。

坂本さん自身のセルフ・コピー集で、ピアノ・チェロ・ヴァイオリンのトリオ編成で聴かせてくれます。ピアノは、坂本さん自身。そして楽曲の多くで、 チェロがジャック・モレレンバウムさん(Jaques Morelenbaum)、ヴァイオリンはエバートン・ネルソンさん(Everton Nelson)が担当しています。

1966
坂本龍一 RYUICHI SAKAMOTO
こちらで一部試聴できます

1.ゴリラがバナナをくれる日
2.Rain
3.美貌の青空
4.The Last Emperor
5.1919
6.Merry Christimas Mr.Lawrence
7.M.A.Y.in the backyard
8.The Shelterling Sky
9.A Tribute to N.J.P
10.High Heels-Main Theme
11.青猫のトルソ
12.嵐ケ丘
13.Parolibre
14.Acceptance(End Credit)~リトル・ブッダ
15.Before Long
16.Bring them home

聴いていただけばわかりますが、クラシックのトリオということで、改めて彼の曲のもつオリジナリティがくっきりと鮮明になっている印象を受けます。はじめ て坂本さんを聴く方にも、いい一枚なのではないでしょうか。帯によれば、坂本さん曰く「まあ、一生に一枚作るかっていう種類のアルバムですね。」だそうで すから。ちなみに、このアルバムは第11回日本ゴールドディスク大賞・インストゥルメンタル部門賞を受賞しています。

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2010年11月8日月曜日

MacBook Air 11 インチ 魔法のケースが届きました

iPad や MacBook 用のケースとして、評判のbuzzhouse デザインのフェルトケース、MacBook Air 11 インチ用のもの・・出来たてほやほやの新製品が届きました。
厚すぎず、それでいて表面保護にはなるので、とても快適です。

PC持ち歩くときに、どの程度、クッションのあるものを使おうか迷うところですが、今回のMacBook Air はなかなか頑丈でいて、また、その軽さが取り柄となると、そう重たい頑丈なものを使うわけにもいかず、ちょうどいいものはなかなかみあたらないのですが、 そこにみつけたのが、これ、buzzhouse デザインのフェルトケースでした。

手作りのものなのですが、ちょうど数日前最初のロットの在庫があるのをみつけたので即ゲット・・とてもいい風合いに気に入っています。おすすめです。

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http://bit.ly/9j1jTX

2010年11月7日日曜日

RYUICHI SAKAMOTO north american tour 2010 nov.5th Los Angels 坂本龍一 ~ BEHIND THE MASK

今日もまた、午後、坂本教授のロサンジェルスからのライブ中継。最終回だけあって1万人を超える視聴者がustreamから参加した、妙に盛り上がったものでした。

セットリストは以下のもの。

ryuichi sakamoto north american tour 2010 nov.5th
Los Angels

glacier
hibari
still life
nostalgia
in the red
美貌の青空
tango
a flower is not a flower
tamago 2004
1900
the last emperor
戦場のメリークリスマス

encore

behind the mask
happy end
tibetan dance
千のナイフ

parolibre

ヤマハのピアノらしい音色が教授のサウンドにあっているというか、MIDIピアのとの掛け合いを想定した計算された2台のピアノへの割り振りの巧みさがいかにも教授らしいところ。
ところで、そういえば、BEHIND THE MASKにはいろいろなバージョンがあったのと思い出し、みつけだしてきたのがこのアルバム。

BEHIND THE MASK
RYUICHI SAKAMOTO

1. ビハインド・ザ・マスク
2. リスキー
3. フィールド・ワーク
4. ステッピン・イントゥ・エイシア(TVトラック)
5. フィールド・ワーク(エディット)
6. 両眼微笑

1987年のNEO GEOツアー後、ツアーメンバーでスタジオライブレコーディングされたもの。「Behind The Mask」は、YMO時代の歌詞ではなく、マイケル・ジャクソンさんが作詞したもの。あの驚異的なアルバム「スリラー」に入る予定だったとかともいわれて ました。 立花ハジメさんも参加していて、今日のピアノソロ版とは違って、1980年後半のPOPな教授が感じられるもの。

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2010年11月6日土曜日

to the nines パリスマッチ paris match

今年デビュー10周年を迎えたparis matchが、通算9枚目となるオリジナルフルアルバム「to the nines」。

to the nines
パリスマッチ paris match


こちら
で一部試聴できます


1. dressed up to the nines
2. 17
3. Time Travel
4. Lady’s Jam
5. HAPPY-GO-ROUND ~AND WE LOVE YOU~
6. SALON TOKYO
7. Red Shoes
8. MUSIC
9. Floor
10. short story
11. Shala-la-la
12. Strawberry Waltz
13. 太陽の接吻 (Recorded at Billboard Live Tokyo 2010.04.17)
14. Saturday (Recorded at Billboard Live Tokyo 2010.04.17)

アルバムには、タイアップソングに起用された「SALON TOKYO」や、元メンバー古澤大も参加したセルフリメイク「HAPPY-GO-ROUND ~AND WE LOVE YOU~」なども含まれています。
パリスマッチは、日本だけでなくアジアで人気で、特に人気の高い韓国では、日本同時発売とか。

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2010年11月5日金曜日

電子書籍・出版の新しい枠組み ~ 村上龍 氏の発表から

村上龍氏が電子書籍発売について会社を興す発表がありました。
その実際のいきさつについて、ご本人のブログに実に詳細に書かれていて、今後の電子書籍発刊の流れに多くの影響を及ぼすだろうと思われるので、ここに紹介してみたいと思います。
彼の群像での連載「歌うクジラ」の出版について、講談社への了解をとったいきさつ、グリオという永年のつきあいのある会社にこの電子書籍化の依頼をしたことなどのいきさつのあとで、実際の制作と販売については次のように述べています。
3:『歌うクジラ』制作と販売

電子化の作業は刺激的でした。ほとんど毎日会ってアイデアを出し合い、数日後にデモ画面を見て、修正点を確認し合うというスリリングな日々が続きま した が、坂本龍一のオリジナル音楽が届いたとき、わたしたち制作スタッフの興奮はさらに高まりました。当初は、坂本龍一の「out of noise」というアルバムの楽曲を使う予定だったのですが、基本的にAppleのアプリにはJASRACに登録されている楽曲は使えないので、オリジナ ル楽曲を作ってもらったのです。電子書籍元年なんだから絶対にやるべきだと、坂本龍一からはメールで何度も勇気づけられました。そしてオリジナル楽曲も快 く引き受けてくれたわけですが、送られてきたその音楽はすばらしく、「小説のために作られた楽曲というのは歴史上初めてかも知れない」と思うと、深い感慨 がありました。

7月初旬、『歌うクジラ』iPad版が完成し、Apple本社の審査にも通って、ついに販売がはじまりました。制作費は、プログラミング会社委託実 費で 約150万、坂本龍一へのアドバンスが50万、計200万でした。ただし、わたしとグリオのスタッフの報酬は制作費として計上していません。定価は 1500円としましたが、値付けにはかなり悩みました。400字詰め原稿用紙1100枚という長編なので、紙だと上下巻で間違いなく3000円以上の定価 になるのですが、アプリとしての表示ではボリュームを示せないので、適正価格がわかりづらいのです。結局、紙のだいたい半額1500円なら堂々と売れるの ではないかということで価格が決まりました。

売り上げの配分は、制作実費150万(坂本龍一へのアドバンス50万円は売り上げ配分の前払い扱い)をリクープする前は、村上龍:グリオ:坂本龍 一=2:4:1、リクープ後は、4:2:1とすることにしました。『歌うクジラ』電子本はiPad、iPhone版を併せて、現在10000ダウンロード を優に超えています。わたしもグリオも確かな手応えを得ました。この成果をどう将来に活かしていくのか、わたしとグリオの次の課題が見えてきました。

ここまで、売上げ配分率などを明示化されると、これからの電子書籍の規模感、そのコスト感、思いなどがきちんと伝わってきて、かなりの起爆剤となるのではないかと思います。
そして、さらに今後の展開について幻冬舎と話し合った経緯などが語られています。

4:幻冬舎との話し合い

幻冬舎は、親友の見城徹が興した会社で、わたしは特別な思いを持っています。『歌うクジラ』の電子化作業が進んでいる間も、幻冬舎と何度も話し合い をし ました。幻冬舎は電子化にどう対応するのか、これからのわたしとグリオの作業に関わることができるのか、おもな話題はそういったことでした。ただし、幻冬 舎と組んで電子化を進めるとなると、他の版元出版社の既刊本には対応できないと思いました。

わたしは、電子書籍の制作を進めるに当たって、出版社と組むのは合理的ではないと思うようになりました。理由は大きく2つあります。1つは、多くの 出版 社は自社で電子化する知識と技術を持っていないということです。「出版社による電子化」のほとんどは、電子化専門会社への「外注」です。わたしのアイデア を具体化するためには、まず担当編集者と話し、仲介されて、外注先のエンジニアに伝えられるわけですが、コストが大きくなり、時間がかかります。『歌うク ジラ』制作チームの機動力・スピードに比べると、はるかに非効率です。2つ目の理由は、ある出版社と組んで電子化を行うと、他社の既刊本は扱えないという ことでした。いちいちそれぞれの既刊本の版元出版社と協力体制を作らなければならず、時間とコストが増えるばかりです。今後、継続して電子書籍を制作して いく上で、グリオと組んで会社を新しく作るしかないと判断しました。今年の9月中旬のことです。

さらに、今後の配分率についてもオープンを前提とすることを語った上で、次のように一律にいかない理由を述べられています。そして、ここまでのいろいろな思いとともに、版元への料率をその作業量によって定めていかざるをえない現実について語っています。
版元からすれば、その法律的な権利とは別にいろいろな思いがあるでしょうが、こうクリアーにすべてを明らかにしていくと、村上氏の提案する作業量による配分率というのは、現状もっとも根拠のある解決策であることが浮かび上がってくるような気がします。

8:*既刊本の版元への配分

たとえばわたしのデビュー作である『限りなく透明に近いブルー』(76 講談社)という作品の場合、当時は出版契約書が存在していなかったということもあり、版元である講談社の許諾および売り上げ配分なしで、わたし自身が G2010で電子化することが、法的には可能なのだそうです。ただ、講談社に無断で『限りなく透明に近いブルー』を電子化して販売することには抵抗があり ます。

思い返せば、35年前、ちょうど今ごろの季節でした。西武新宿線の田無という街の書店で、わたしは「群像新人賞公募」を知り、それまで書きためてい た創 作ノートから、210枚の作品を1週間で書き上げました。「群像」という雑誌、講談社という出版社が、『限りなく透明に近いブルー』という小説が誕生する 契機を与えてくれたことになります。それは、よく言われるような、出版社が新人作家を育てるとか、編集者が執筆に協力するというようなこととは微妙に違い ます。作品が生み出される「契機」「場」を提供してもらったということです。わたしは、これまでのすべての作品を自分で書き上げました。出版社および編集 者は、多くの作品を書くきっかけを提供したということです。ただし、その心情的「恩義」を、そのまま電子化における版元への配分に反映させることは、不可 能です。

そこでわたしは、版元に対して、電子化に際し、さまざまな「共同作業」を提案することにしました。たとえば、原稿データの提供、生原稿の確保とス キャ ン、写真家への連絡と交渉、さらに共著者がいる場合にはその連絡と交渉、そしてリッチ化の1部の作業、およびコストの負担などです。その上で、G2010 が版元への配分率を決め、配分率は個別の作品ごとに設定します。たとえば『あの金で何が買えたか』(99 小学館)や『新13歳のハローワー ク』(2010 幻冬舎)という絵本は、版元との新しい共同作業が発生しますので20から30%という高率の配分を予定しています。ただし、電子化への共同作業が発生しな い場合は、配分がゼロの例もあります。

つまり、面倒ではあるのですが、G2010において既刊本を電子化して販売する場合には、それぞれの作品ごとに、売り上げ配分を決めることにしまし た。 作品によって要件が異なるので、その作業は必須だと考えています。そういった個別の配分例を透明化・公表し、一定量積み重ねることで、全体としてのモデル となっていくのではないかと思います。

最近、「カンブリア宮殿」などの番組出演で、村上氏はとてもいい感じの、ナビゲーター兼コメンテーターをされていて、そこでの多くの経済人との出会い、政治家との出会いがあることも影響しているのかもしれませんが、今回のこのウエブでの発表は(全文はこちらでどうぞ)、ついついウエットになりがちな出版社との関係を、思いとして大切にしつつ、「オープン」という方法によって、メンタルではなくビジネスライクに解決策をみつけていくという作業をきわめて気持ちよく実現された気がします。
最初の電子出版をした先導者として自らの役割だとも思われたのでしょうが、作家としてだけでなく、その枠組み流通自体も自らにおいて責任をもっていく・・というこの態度表明は、爽快とも思えるものでした。

つづきはこちら↓

2010年11月4日木曜日

坂本龍一 ustream LVIE at サンフランシスコ を聴いて~ RUICHI SAKAMOTO/05

今日もまた、坂本教授のライブ中継があった。サンフランシスコから。

3カメ・ステレオ音声。
2台のピアノ(1台はMIDI・無人)でのソロコンサート。坂本龍一さんの音楽はもちろんCDでも十分に聴くことができるが、今回のライブがいいのは、や はり聴衆との間合い。1曲ごとにその最後の弱音が終了して響きが消え去るかどうかのあたりからわき起こる聴衆の拍手。聞き入っているよき聴衆が一体となっ たときだけにあるこの集中度と間合い。その歓びがustream を通じてそのまま伝わってくる。

古川さんと平野さんの努力のたまものだが、そのあたりの経緯もこちらに、面白くまとめられている。デジタルステージの平野さんの平野さんらしさがあふれている。

で、今日のライブでもなかなかよかったのが、その中での出色だった1曲が「千のナイフ」。MIDIピアノと教授とのかけあいがとても素敵だった。そ して「Tibetan Dance」。ピアノ曲としての楽しさがあふれているアレンジだった。「シェルタリング・スカイ」・・あのベルトルッチの映画が彷彿としてくる

・・そういえばこれら3曲が入っているアルバムがあったなと思い出したのが、なつかしい、「坂本龍一/05」。
帯によれば、「坂本龍一入門者にとって優しい、坂本龍一マニアにとっては深い、究極の1枚です(ロッキング・オン 渋谷陽一)」とあるけれど、まさにそういう1枚。

坂本龍一/05
RYUICHI SAKAMOTO


1. Tibetan Dance
2. A Flower Is Not A Flower
3. Amore
4. Energy Flow
5. Aqua
6. The Last Emperor
7. Happyend
8. Thousand Knives
9. Fountain
10. The Sheltering Sky
11. Lost Theme
12. Shining Boy & Little Randy
13. Reversing
14. Rainforest


日本時間の土曜日13時からは、彼の北米ツアーの最終公演もUSTREAMで再度中継があるとか。

つづきはこちら↓

2010年11月3日水曜日

『シェエラザード』 ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ~パリ管弦楽団

なんて、豊穣なシェヘラザードなのだろう。
ロストロボーヴィッチの指揮になるこのパリ管の「シェヘラザード」のようなものこそ、名演と呼ぶのだろうと思う。


リムスキー=コルサコフ:交響組曲『シェエラザード』 作品35

パリ管弦楽団
ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(指揮)

録音時期:1974年
録音場所:パリ、サル・ワグラム
録音方式:ステレオ(セッション)
こちらで一部試聴できます


シェヘラザードは千一夜物語をもとにつくられたものだが、バレエ組曲の「白鳥の湖」のように、とても映像的な、あるいみ具象的な音楽においては、演奏者によるその品性のようなものが、結果として問われることが多くある。
このロストロ盤の素晴らしいところは、そのような評論家のような人々の視線に対し、あえて大仰というか、メリハリ強く、土着的な匂いを存分に醸し出 しているところである。いわゆるタメが強烈に深くとられていて、大衆的聴衆の思うまさに欲しい抑揚がこれでもか、というほどに効いているところが、本当に 素晴らしくいいのだ。そして、パリ管の色彩。

2010年11月2日火曜日

National Ransom ELVIS COSTELLO エルヴィス・コステロ~ナショナル・ランソム

エルビス・コステロの新作。なかなか渋くていけてます。
さきほどまで、坂本教授のバンクーバーライブをustreamで気持ちよく堪能したのですが、あれだけの音質でライブを同時性でもって楽しめるとなると、 それこそ時空距離というリアルな障壁が、意味を変質していくのがわかる気がします。
ところで、このコステロの新作も、リンク先で無料で全曲聴くことができ ます。期間限定とはいえ、考えてみればふしぎなもの。ニューヨーカーの新作紹介の頁に紹介されているわけだけれども、今後は確かに新作紹介のときには、こ うして全曲試聴できるようになっていくのかもしれませんね。

National Ransom
ELVIS COSTELLO

期間限定ですが、こちらで全曲、全部試聴できます

1. National Ransom
2. Jimmie Standing In The Rain
3. Stations Of The Cross
4. A Slow Drag With Josephine
5. Five Small Words
6. Church Underground
7. You Hung The Moon
8. Bullets For The New-Born King
9. I Lost You
10. Dr. Watson, I Presume
11. One Bell Ringing
12. The Spell That You Cast
13. That’s Not The Part Of Him You’re Leaving
14. My Lovely Jezebel
15. All These Strangers
16. A Voice In The Dark

さて、問題のアルバム・・ロックなのか、カントリーなのか、はたまたジャズなのか・・結構不明なコステロだけれど、今回のアルバムもコステロらしい男臭さ に満ちていて、コステロファンには、待ってましたの1枚でしょう。

つづきはこちら↓
http://wp.me/pMonj-oN