2010年6月10日木曜日

カプースチンのサキソフォン・コンチェルト Nikolai Kapustin /  Concerto for alto saxophone and orchestra [2002]

サキソフォンのコンチェルトは、珍しいのですが、以前ご紹介した、スタン・ゲッツとボストン・ポップスのものがなかなか有名です。今回は、あのジャズライ クなクラシック・ピアノ曲を得意とする、ロシアの作曲家カプースチンによるもの。


ニコライ・カプースチン Nikolai Kapustin
アルト・サキソフォンと管弦楽のための協奏曲
Concerto for alto saxophone and orchestra op.50(1987)

アンドレイ・エシュパイ Andrei Eshpai
ソプラノ・サキソフォンと管弦楽のための協奏曲
Concerto for soprano saxophone and orchestra

アレクセイ・ヴォルコフ(アルト・サキソフォン、ソプラノ・サキソフォン)Alexey Vlkov

マルク・ゴレンシテイン(指揮) Mark Gorenstein
オーケストラ<ニューロシア> Orcestra “NEW Russia”


このCDのライナーノーツに、カプースチンがこのアルバムに寄せたコメントが載っているので少し紹介してみましょう。

この曲に献呈先など存在しません。私に対して、ペレストロイカまっただ中の1980年代終わりに作品を委嘱してくれる人は おらず、ソリストの人選などは考えてもいなかったからです。今では作曲の動機も思い出せませんが、想像するに、それまで私が書いた3曲のコンチェルトは全 てピアノ協奏曲だったので、何か他の楽器を取り上げてみたかったのだと思います。少し前にエシュパイのソプラノ・サックスのための協奏曲が発表されたばか りで、それが密かな助言のように作用したのかもしれません。

私は単一楽章のコンチェルトを4曲書いており、これはその2作目にあたります。後に私は、この形式への興味を失ってしまいました。サクソフォン協奏 曲の筆を進めている間にも形式的な限界を感じ、それゆえ作品は短めのものとなりました。スタイルは、それほどジャズ的ではなく、どちらかというとジャズ= ロック的です(ソリストには、ジャズメンの資質が不可欠)。オーケストラの編成にはビッグバンドが含まれますが、独奏楽器の音色が全パートをバックに抱え ても明確に浮き立つよう配慮されています。

(後略)

演奏も、ロシア人のソリストによるサキソフォンといい、オーケストラといい、とても端正で、いかにもクラシックに演奏されているジャズという感じで す。中盤からは、ちょっとバーンスタインを思わせる雰囲気やら、劇伴風の香りも漂わせつつ、しかしあくまで、ジャズ的なグルーブ感には走らず、淡々と楽曲 が進行していくところが、やはりロシア的なのでしょう。カプースチンによれば、これでもかなりジャズ的なのだというのですが・・。もちろん過日のボスト ン・ポップスがこの曲を奏でれば、もっとグルーブに走り、最後はアップテンポで終わっていた気がします。

つづきはこちら↓

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