3月も終わりをつげようというこの時期にいたって、電子出版をめぐって、いろいろ話題があるこの数日でした。そのいくつかについて今日はちょっと追ってみ ることにします。
ひとつは、3月24日、出版31社が参加し、「日本電子書籍出版社協会」が発足したこと。
設立総会と理事会の終了後に行われた記者会見で野間氏は、「電子書籍市場が日本の出版界にもたらす大きな影響は、決して無 視できるものではないが、いたずらに悲観すべき材料でもない」として、協会では「著作者の利益・権利を確保すること」「読者の利便性に資すること」「紙と デジタルの連動・共存」の3つの理念を柱として、参加各社に出版のデジタル化・電子書籍市場に積極的な取り組みをしてもらいたいと語った。
(中略)電子書籍市場によって著作者と読者がダイレクトにつながり、出版社が中抜きされる構造になることへの不安はないかという質問に対して野間氏は、 「出版社の役割や価値を、著作者にどう評価してもらえるか次第。価値を認めてもらえれば中抜きされることはないと思うが、そうでなければ中抜きされるだろ う」と説明。日本での電子書籍市場の拡大については、「いまのところ展望はまだ見えていないが、我々としては紙と電子の相乗効果を狙っている、紙も電子も 膨らみ、パイが大きくなっていくことを目標としたい」と語った。
出版社が新たな権利として「版面権」のようなものを確保していくことを目指すのかという問いには、「紙の時代から議論となってきたが、権利をなんと かして確保していこうという後ろ向きなことではなく、これからの事業を前向きに進めていくために、著作者の理解を得ながら検討していきたい」と 答えた。
この協会の設立によって、日本において電子出版がより加速されるのかどうか、どうも意見の分かれるところです。しかし、キンドル(kindle)、 IPadと待ったなしの状況はいっそう、この国の電子出版について逼迫感を強めている感覚があります。市場全体の拡大こそがまずは近道なのでしょうが、そ のための具体策がどのようにすすむのか、また、協会という手法がよいのかについては、今後さらに議論をよびそうな雲行きです。
キンドル・ストアで、はじめて日本語マンガを出版するに至った経緯をインタビュー構成で掲載しています。山口真弘さんが、みんながききたいであろう ことを、巧みにおもしろくインタビューしています。一部引用してみましょう。