2010年4月1日木曜日

名盤発見 ガトー・バルビエリ(GATO Barbieri)の最高傑作:chapter one : latin america

名盤発見 ガトー・バルビエリ(GATO Barbieri)の最高傑作:chapter one : latin america


3月ももう終わり。別れがあり出会いがある・・年度をまたぐこの微妙な時間は、何かこころが落ち着かないそれでいてちょっとさびしい、一年でもこの時期だ けに感じられる独特の感覚の時です。こんな日にはこころのちょっとした隙間をきっと埋めてくれるガトー・バルビエリがいいかもしれません。

ガトー・バルビエリ(GATO Barbieri
chapter one : latin america



どことなく懐かしい響きとパワフルなブローがひとつになったガトー・バルビエリの1973年のアルバムです。フリー・ジャズを視野に入れながらも独 特の哀愁味を感じさせるブローが不思議な雰囲気を醸し出しています。

ガトー・バルビエリは、1932年生まれ。アルゼンチン出身のテナー・サックス奏者です。12歳の時にチャーリー・パーカー(sax)の演奏に衝撃 を受けてクラリネットを始め、その後すぐにアルト・サックスに転向、地元の人気グループであったラロ・シフリン(p)のオーケストラに参加、50年代後半 にはテナー・サックスに転向して自身のバンドを率いるようになり、活動の拠点をヨーロッパへ移しました。60年代から自身のルーツであるラテン要素や様々 なワールド・ミュージックを音楽に取り入れ、72年にはベルナルド・ベルトリッチ監督の映画『ラスト・タン ゴ・イン・パリ』で音楽を担当し、作曲家/コンポーザーとしても世界的にも知られるようになりました。

アルバムは、1曲目の「Encuesntros」から、とにもかくにもアルゼンチンの香りたっぷりの、ガトー・バルビエリ節炸裂です。ベルトリッチ の「ラスト・タンゴ・イン・パリ」を思わせる、泣きっぷりがいいのです。そのもち味でたっぷりと聞き手をみちびきこんだあとは、2曲目「India」では アンデスの匂いたっぷりに、ラテンの民族音楽風情感を聴かせてくれます。そして3曲目は、まさに演歌。ガトー・バルビエリの魅力は結局のところ、彼にしか ない、ある種の土着性なのかもしれません。しかし、この3曲目をきくと、国境を越え、彼の祖国アルゼンチンでも、私たち日本でも、その精神構造の根幹にあ る音楽はまったくといっていいほど共通なのではないかとさえ思わされたりもします。


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