2010年4月30日金曜日

名盤発見 すでに怪物だった・・ショパン・コンクールのポゴレリッチ(IVO POGORELICH)

名盤発見 すでに怪物だった・・ショパン・コンクールのポゴレリッチ(IVO POGORELICH)

昨日のライヴがあまりに印象的で、昨日の「シャルル・デュトワの夜~やっぱり、ラ・ヴァルスといえばデュトワ。そしてロックなポゴレリッチ」にひきつづ き、今日はショパン・コンクールの時のポゴレリッチです。


栄光のショパン・コンクール3
ダン・タイ・ソン & ポゴレリッチ

1. 舟歌嬰ヘ長調op.60
2. 3つのマズルカop.59
3. 24の前奏曲op.28~第21番変ロ長調/第22番ト短調/第23番ヘ長調/第24番ニ短調
4. バラード第2番ヘ長調op.38
5. ピアノ・ソナタ第2番変ロ短調op.35「葬送」
6. 練習曲ヘ長調op.10-8

(1. DANG THAI SON)
(2.~6. IVO POGORELICH)

1980年の第10回のショパン・コンクールの録音盤です。よく知られているように、この年のショパン・コンクールは大荒れでした。まずは、極度に 個性的なユーゴスラヴィア出身のポゴレリッチが二次予選に通過したことに憤慨し、英国の審査員、ルイス・ケントナーが席を立ち、逆に彼が第三次予選を通過 できなかったことで、審査員、マルタ・アルゲリッチは審査員を辞任して帰国してしまいます。また、ポーランドの審査員、リディア・グリフトウォーヴナ教授 は、ポゴレリッチはソナタを冒涜したと語ったといいます・・。
結局のところ、優勝は、ダン・タイ・ソンになるわけですが、その後のふたりの活躍をみても、この年は本当に象徴的な年だったのかもしれません。

1曲目はダン・タイ・ソン。舟歌を見事に優雅に弾きます。現在のダン・タイ・ソンに比べ、より情熱的で華麗なショパンです。しかし、本当にうま い。
2曲目からは、話題のポゴレリッチ。可変的テンポのポゴレリッチ節は、このときからまさにそうなのですね。強烈な自己主張は、小気味よくさえあります。マ ズルカは、強い鍵盤裁きと情熱的な風情。そして、「葬送行進曲」。これは、自在なテンポといい、いまのポゴレリッチを彷彿とさせるもの。

つづきはこちら↓
http://bit.ly/aH02SO

2010年4月29日木曜日

シャルル・デュトワの夜~やっぱり、ラ・ヴァルスといえばデュトワ。そしてロックなポゴレリッチ(Charles Dutoit La Valse ~ Ivo Pogorelich)

昨夜、サントリーホールにて、シャルル・デュトワ、フィラデルフィア管弦楽団のコンサートがありました。

雨の中、お客様は8割から9割くらい?・・当初は、ほとんど完売状態でしたので、それを思うとやや空席が目立つくらいの感じでした。というのも、以 前、この欄でも書いたように、ゲストのピアニストが、急遽、マルタ・アルゲリッチさんからイーヴォ・ポゴレリッチ氏に変更になり、払い戻しに応じたからな のでしょう。でも、それゆえか、開場前に、当日券売り場には、いつもよりたくさんの人が行列していたのも印象的でした。

さて、演目は以下のとおり。


ベルリオーズ・序曲「ローマの謝肉祭」op.9
Hector Berlioz Overture “Le carnival romain” op.9

ショパン・ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 op.21
Fredelic Chopin Piano Concerto No.2 in F minor op.21

*  *  *

ラフマニノフ 交響的舞曲 op,45
Sergei Rachmaninov Symphonic Dances op.45

ラヴェル ラ・ヴァルス
Maurice Ravel La Valse


ベルリオーズは華やかな感じで終了し、つづいてまずは最初の目玉であるショパンのコンチェルト。やや自信なさげな、目をふせ、おずおずと入場してくる感じ のポゴレリッチ氏。このあたりはいつもの感じです。そして、コンチェルトがはじまると・・・さすが、ポゴレリッチ。演奏がロックなのです。

つづきはこちら↓
http://wp.me/sMonj-dutoit

2010年4月28日水曜日

名盤発見 アントニオ・カルロス・ジョビン、ヴィニシウス・ジ・モラーエスを唄う

名盤発見 アントニオ・カルロス・ジョビン、ヴィニシウス・ジ・モラーエスを唄う

今日もまた4月の雨ですね。今日はアントニオ・カルロス・ジョビンのヴィニシウス・ジ・モラーエスをしのんだライヴアルバムです。


TOM CANTA VINICIUS(AO VIVO)
ANTONIO CARLOS JOBIM

01 – Soneto da separacao
02 – Valsa de Euridice
03 – Serenata do Adeus
04 – Medo de amar
05 – Insensatez
06 – Poetica
07 – Eu nao existo sem voce
08 – Derradeira primavera
09 – Modinha
10 – Eu sei que vou te amar
11 – Carta ao Tom / Carta do Tom
12 – A felicidade
13 – Voce e eu
14 – Samba do carioca
15 – Ela e carioca
16 – Garota de Ipanema
17 – Pela luz dos olhos teus


アントニオ・カルロス・ジョビンが1990年にリオ・デ・ジャネイロのホールで行った、ヴィニシウス・ジ・モラーエス追悼コンサートのライヴ盤です。フ ルート奏者&ヴォーカリストのダニーロ・カイミ、息子でギターリストのパウロ、チェリストのジャキス・モレレンバウンとその妻パウラ・・・素晴らしいメン バーで、なかなか聴けない内容の濃いライブが繰り広げられます。

やさしい雰囲気、あたたかい音色・・完成度の高いスタジオ録音が多いジョビンにおいて、アットホームな感じの、居心地のよいライヴの様子が伝わって きます。

つづきはこちら↓
http://wp.me/pMonj-c3

2010年4月27日火曜日

名盤発見 摩擦ゼロの羽車のような軽やかさと、上質で芯のある音像をあわせもったプリアンプ~ライラ アンフィオンLINE 3 (LYRA Amphion line3)

きょうは、最近届いたアンプ、ライラのプリアンプ・アンフィオン、line3 です。
プリアンプはオーディオのすべてだ・・と言い切るオーディオ関係者もいたりしますが、まさにその言説を証明するような、素晴らしいプリアンプで す。

まず、メーカーのページをみてましょう。

システムの中におけるプリアンプの存在は、非常に重要で、システム全体の方向性を決めてしまうほど影響力があります。
ライン専用プリアンプが、様々な見直しを行い、ドライブ力と一層の表現力を身につけた新たなモデル、LINE 3として登場しました。
LINE3では、表現力に非常に影響を及ぼす電源部の構築に多くの時間を費やし、ヒアリングを繰り返し行いながら、最適なバランスを見つけまし た。

従来より容量とコア・ボリュームをアップしたRコアトランスを3個搭載し、アナログ部は各ステージ専用に、MOS-FETによるレギュレーターを使 用して、安定した電力供給を実現しています。また、ハイグレードのブロックコンデンサーをトータル13200uF(2200uF×6)と最適な容量の SBD(ショットキーバリアダイオード)を使用することで、ノイズの低減と立ち上がりに余裕のある音を実現しました。

入力はRCA×5系統、XLR端子×1系統で、出力はRCA1系統、XLR端子×1系統を装備しています。

ボリュームコントロールは電子制御のボリュームを採用し、小音量時における、ギャングエラーの発生とセパレーションの劣化の無い細かなコントロール を可能にしました。また、セレクターにも高品位のパーツを使用して、音質と耐久性にも配慮しています。

入力部には高性能J-FET入力オペアンプを搭載し、ソース機器の信号をしっかりと受け止めます。増幅素子をはじめコンデンサー、抵抗などの使用 パーツは、度重なるヒアリングテストの結果決定されております。

出力部はMOS-FETを使用し、パワーアンプに対するドライブ力を増しています。電源回路を強化することにより、以前にも増して豊かでレスポンス に優れた再生が可能になりました。

高解像度でストレートな中にも、実在感がある表情豊かなサウンドに仕上げました。温もりのあるみずみずしさは、演奏家の情熱をありのままに表現し、 音楽の素晴らしさを改めて感じることができます。
誇張しない自然でスムーズな音の出方、にじみのない空間表現と、躍動感に満ちた伸びやかなサウンドをぜひお楽しみください。

< 仕 様 >

ゲイン:       16dB
入力端子:      アンバランス端子(RCA)×5系統
バランス端子(XLR 2番HOT)×1系統
出力端子:      アンバランス端子(RCA)×1系統
バランス端子(XLR 2番HOT)×1系統
入力インピーダンス: 10 kΩ
出力インピーダンス: 50Ω
電  源:       AC100V 50/60Hz
消費電力:       8W
サイズ:       W 400mm×H 72mm×D 270(ノブ+ 23)mm
重  量:       8.0kg
※規格および外観は予告なく変更することがあります。

以前、このアンプの前身にあたる、アンフィオンline(lyra amphion line) を使用していたのですが、その甘美で艶やかなストリングスの音色や、あたたかみのあるボーカルの音色を、とても気に入っていました。

今回の新しい(といっても発売開始からすでに1年余りたっていますが)アンフィオンline3は、もちろん以前のlineと同じ系列の音ですが、さ らに繊細さと空間のひろがりが増えたのがいちばんの特徴です。まだエイジング中なので、さらに音がまろやかになっていくと思いますが、それでも、完成度の 高いプリアンプであることは、電源をいれてまもなく判明します。

つづきはこちら↓

http://wp.me/pMonj-bX


2010年4月26日月曜日

名盤発見 棚からひとつかみ~クラムボン:はなれ ばなれ 投稿しました 

今日は棚からひとつかみ~クラムボンのデビュー・マキシ・シングルです。


はなれ ばなれ
クラムボン(clammbon)

1. はなれ ばなれ
2. みつばち
3. タイムリミット
4. OR→

ミト(bass)
原田郁子(vocal、keyboards)
伊藤大助(drums)


いま聴いてもいいですね。ちょっとベンフォールズのような、ピアノロックだけれど、
ベースがとてもしっかりしていて、それでいて、テンポ、コード、彼女の声のちょっと浮いた感じがいいのです。そう、途中の転調も素敵です。

このシングルは1999年のできですが、3人とも尚美専門学校の出身。授業内の演奏会でキャロル・キングのYou’ve Got a Friendを演奏するために一時的にクラムボンの原型となるバンドを結成。演奏会終了後もこのメンバーでオリジナル曲を作り始めたとか。

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http://wp.me/pMonj-bJ

2010年4月25日日曜日

名盤発見 棚からひとつかみ~YMOの萌芽そのものに矢野顕子さんの最高なライヴ:東京は夜の7時

名盤発見 棚からひとつかみ~YMOの萌芽そのものに矢野顕子さんの最高なライヴ:東京は夜の7時

素敵な青空の一日でした。こんな日には、気持ちのスカっとする矢野さんのライヴ盤はいかがでしょう。


東京は夜の7時
矢野顕子

1. ゴッズ・ロイヤル・ラヴ~東京は夜の7時
2. ウォーター・ウェイズ・フロウ・バックワード・アゲイン
3. サッちゃん
4. 行け柳田
5. 気球にのって
6. いもむしごろごろ
7. カタルンカララン
8. ト・キ・メ・キ
9. ウォーク・オン・ザ・ウェイ・オブ・ライフ


高橋幸宏: drums & syndrum
細野晴臣: bass
松原正樹: guitar
矢野顕子: piano & roland JP-4
坂本龍一: polymoog, arp oddsey, fender rhodes, korg PS-3100 & cow bell
浜口茂外也: percussion
吉田美奈子・山下達郎 & Motsu: chorus
神谷重徳: roland MC-8 & JP-4 operation

矢野さんのアルバムの中でも、とても好きなもののひとつです。当時、中野サンプラザに、彼女のライブに行ったことを思い出し、なにか甘酸っぱいよう な若き当時のこころ模様に、ちょっとなつかしく感じる自分があったりします。彼女の才能の凄さ、奥深さの片鱗に触れてショックをおぼえた記憶があります。

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 http://wp.me/pMonj-bF

2010年4月24日土曜日

名盤発見 アマゾン(amazon) キンドル・ストア( kindle store )による電子書籍流通と現代の図書館のありようについて

アマゾン(amazon)のこの第一四半期の売り上げが、前年同期比68%増とか。キンドル(kindle)も昨年のホリデーシーズンに驚異的な販売数を記録し、一説によれば、通常の書籍売り上げに比べ、電子書籍の売り上げの方が多かったと もいわれています。


よく考えてみれば、キンドルを購入する人は本好きに違いなく、キンドルの便利さ、電子書籍の安価さを考えれば、ある臨界値を超えたら自動的にキンドル版の 売り上げが上回ることは自明かもしれません。ましてや、
iPadでもキンドル・書籍を読むことができ、ウィ スパーシンクが利用できるとなれば、既存のキンドル・ユーザーは、たとえiPadであれ、このサービスを継 続的に利用するでしょうから、これからもアマゾンの売り上げに占める電子書籍の割合は上回りつづけることが予測される気がします。


ところで、電子書籍の普及は、出版業界の脅威だという人もいますし、またデジタルデータによるコピーの容易化で音楽業界と同様のダメージを受けるという人 もいます。音楽は
MP3などの無料コピーによって、大きく影響をうけたのですが、では、書籍においてはどう なのでしょうか。実は、すでに、無料と「共存」しているというのが、正しい認識になるような気がしています・・すなわち図書館です。


図書館は、基本的には無料。図書館においては、本は「所有」することはできませんが、自らの意志があれば、本を借りたり、そこで読書したりすることがで き、「主体的体験」をすることができます。

ですから、音楽と同義的な意味で、その業界を心配するのであれば、そもそも 「図書館」と「書店流通」とのバランスなどについて考えるのが正しいのかもしれません。


図書館とは、一体いつからあるものなのでしょう。

世界史上早期の図書館として有名なものに、紀元前7世紀の、アッシリア王、アッシュールバニパルの宮廷図書館があります。アッシリア滅亡時に地下に埋もれたまま保存されたこの 図書館の粘土板文書群の出土によって、古代メソポタミアの文献史学的研究が大きく前進したとして知られています。


さらに下ってヘレニズム時代になると、紀元前
3世紀のアレクサンドリア図書館が有名です。ここには薬草園も 併設されていて、今日の植物園のような遺伝資源の収集も行われていたといわれています。つまり、今でいう図書館、公文書館、博物館に相当する機能を併せ 持っていたのです。さらに、この図書館は、付近を訪れる旅人が本を持っていると、それを没収して写本を作成するというほどの徹底した資料収集方針を持ち、 古典古代における最高の学術の殿堂となっていたといわれます。


歴史的には、学術研究用に資料を集めた場として、学者や貴族以外の者は利用できなかったり、利用が有料であった時代が長くありました。グーテンベルクの印 刷術により本が大量生産できるようになって初めて「誰でも無料で」の原則が広まり始めたといわれています。

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http://wp.me/pMonj-bt

2010年4月23日金曜日

名盤発見 棚からひとつかみ:大人の洗練された猥雑なセンス~肉体関係:クレイジーケンバンド( CRAZY KEN BAND )

名盤発見 棚からひとつかみ:大人の洗練された猥雑なセンス~肉体関係:クレイジーケンバンド( CRAZY KEN BAND )

雨のつづくこの頃には、スカっとしたく、クレイジーケンバンドです。

肉体関係:クレイジーケンバンド
CRAZY KEN BAND

1. 肉体関係
2. ベレット1600GTヨコスカ仕様
3. 肉体関係者各位(ジングル)
4. ウォーカーヒルズ・ブーガルー Akasaka Latin Quarter Deluxe
5. 発光!深夜族 Honmoku ‘69 Tune
6. 金魚鉢 L.B.B.’S DUB SIESTA
7. 狂剣的世界(ジングル)
8. パパ泣かないで(Duet/菅原愛子)
9. スージー・ウォンの世界 山下町mix
10. かっこいいブーガルー(Duet/渚ようこ)
11. 葉山ツイスト(a. the readymade ye ye truck~
12. 大人のおもちゃ(a. 歌舞伎町mix~
13. 長者町ブルース AUDIOMUSICA N°10~
14. あるレーサーの死 AUDIOMUSICA N°12~
15. ショック療法 激情mix~
16. ハンサムなプレイボーイ readymade 524 mix~
17. 大人のおもちゃ(b. 歌舞伎町mix~
18. 葉山ツイスト(b. the readymade ye ye truck
19. M.C.C.K.(ジングル)
20. また逢いましょう

セルフコピーをここまで上手に、巧みに、上質に行うクレイジーケンバンドにただただあたまがさがります。どの曲もただただかっこいい。ちょっと猥雑であり ながら、巧みに洗練されたクールな横山剣をストレートに楽しめます。


http://wp.me/pMonj-bn

2010年4月22日木曜日

名盤発見 ラヴェル(Ravel)好きにはたまらない~デュトワのラ・ヴァルス(Charles Dutoit / La Valse)

名盤発見 ラヴェル(Ravel)好きにはたまらない~デュトワのラ・ヴァルス(Charles Dutoit / La Valse)

ラヴェル(Maurice Ravel)の上質さと、お洒落な感じ、ウィットにとんだその感性が見事に結実した曲といえば、この『ラ・ヴァルス La Valse』に尽きるでしょう。
そして、その魅力をオーケストラにおいて最上級に表現できるのは、より「ラヴェル的に」という観点からみて、現在、最右翼にあるのは、デュトワをおいてほ かにいません。


Maurice Ravel
Orchetre symphonique de Montreal
CHARLES DUTOIT


Daphnis et Cloe
Pavane pour une infante defunte
La Valse


さまざまなリズムとコードが駆使されたこのオーケストラ版の「ラ・ヴァルス」は、たぶん芸術系大学の指揮者の卒業試験にはもってこいと思えるほどに、1曲 のなかにさまざまなトラップがしかけられた曲でしょう。だから、随分といろいろな演奏家のこの曲をききましたが、ひとつとして同じタイプの演奏をきいたこ とはありません。それほどに自由に解釈できる・・でも、だからこそ、逆に正解は、演奏者自らの手で考え、提示しなければならないのです。そこのこの曲の醍 醐味があります。

デュトワのラ・ヴァルスが、素敵なのは、まさにその、彼の考える正解の定義の洗練度にあります。まさに最良の『ラヴェル』とさえ思えてしまうので す。


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http://wp.me/pMonj-bd

2010年4月21日水曜日

名盤発見 なつかしの1枚~ウエス・モンゴメリー(WES MONTGOMERY):ROAD SONG

名盤発見 なつかしの1枚~ウエス・モンゴメリー(WES MONTGOMERY):ROAD SONG

今日の東京の夜は雨。この頃の日本の天候不順は、噴火のせいではないでしょうが、アーティストの来日が中止になったり、輸入CDがとまったりと、なにげな い音楽生活にも影響があると、日常のすべてが地球規模だったのだとあらためて感じたりします。


ウエス・モンゴメリー
WES MONTGOMERY
:ROAD SONG

1 ロード・ソング Road Song
2 グリーンスリーヴス Greensleeves
3
フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン Fly Me To The Moon
4
イエスタデイ Yesterday
5
アイル・ビー・バック I'll Be Back
6 スカボロー・フェア Scarborough Fair
7 アラモ Green Leaves Of Summer
8
セレーヌのために Serene
9
花はどこへ行った Where Have All The Flowers Gone


今日ご案内するのも昨日につづき遺作です。ウエス・モンゴメリーの「ROAD SONG」。ジャズ・ギタリストだったウエスが、フュージョンへと向かった 3作目です。オーケストラ・アレンジも美しく、ウエスらしいギターと、当時のフュージョン出来たての香りがともにいい感じです。まさにCTIレーベルの音 です。彼は、このアルバムを録音して1ヶ月余りで、心臓発作でなくなってしまいました。


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 http://wp.me/pMonj-b8

2010年4月20日火曜日

スタン・ゲッツ&ケニー・バロン(Stan Getz & Kenny Barron )の『ピープル・タイム』ふたたび・・・絶品のコンプリート盤(People Time: the Complete Recording)

スタン・ゲッツ&ケニー・バロン(Stan Getz & Kenny Barron )の『ピープル・タイム』ふたたび・・・絶品のコンプリート盤(People Time: the Complete Recording)

先日、紹介したスタン・ゲッツとケニー・バロンの「PEOPLE TIME」のコンプリート盤「PEOPLE TIME ~ THE COMPLETE RECORDINGS」・・・タイミングがなく入手するのが遅くなってしまっていたのですが、やっと手にいれました。プレイヤーいかけてみると・・いや、 これはあまりに素晴らしい。絶品です。

People Time: the Complete Recording
スタン・ゲッツ & ケニー・バロン( Stan Getz & Kenny Barron )


箱を開けてみると7枚の色違いの紙ジャケに入ったCDたち。コペンハーゲンのカフェ・モンマルトルでのライブが完全収録されています・・1991年 3月3日の1st セットと2ndセット、3月4日の1stセットと2ndセット、3月5日の1stセットと2ndセット、3月6日の7枚。・・最後のアルバムには、ナイ ト・アンド・デイのエンジニアのサウンドチェックまで入っていて、これは左右の音が途中切れたり、ノイズが入ったり本当のサウンドチェックそのままなので すが、この録音でさえ、ゲッツノ肩の力の抜けた演奏が感じられて、何かとてもなつかしい気持ちにとらわれます。

すべての録音、マスタリングも素晴らしく、かつてのセレクション2枚組の時代から技術が相当進歩したことを、改めて実感させられる・・それほどの差があり ます。

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http://wp.me/pMonj-b2

2010年4月19日月曜日

コケティッシュなウィスパーボイスが魅力のステイシー・ケント( Stacey Kent )の ニューアルバム~Raconte-moi

コケティッシュなウィスパーボイスが魅力のステイシー・ケント( Stacey Kent )の ニューアルバム~Raconte-moi

春のおとずれとともに、やさしい女声ヴォーカルがききたくなりました。ステイシー・ケント(Stacey Kent)の最新作です。

Raconte Moi

Worldwide release date March 22, 2010.
(Except for UK/USA – release date is June, 2010)

1. Les Eaux De Mars – Antonio Carlos Jobim / Georges Moustaki
2. Jardin D’Hiver – Benjamin Biolay / Keren Ann Zeidel
3. Raconte-Moi – Bernie Beaup?re / Emilie Satt / Jean-Karl Lucas
4. L’?tang – Paul Misraki
5. La Venus Du M?lo – Bernie Beaup?re / Emilie Satt / Jean-Karl Lucas
6. Au Coin Du Monde – Benjamin Biolay / Keren Ann Zeidel
7. C’est Le Printemps – Oscar Hammerstein II /Richard Rodgers
8. Sait-On Jamais? – Camille D’Avril / Jim Tomlinson
9. Les Vacances Au Bord De La Mer – Pierre Grosz / Michel Jonasz
10. Mi Amor – Claire Denamur
11. Le Mal De Vivre – Barbara
12. D?suets – Pierre Dominique Burgaud / Andr? Manoukian

Stacey Kent – voice
Graham Harvey – piano and Fender Rhodes;
John Parricelli – guitars
Jeremy Brown – double bass
Matt Skelton – drums and percussion
Jim Tomlinson – tenor sax, soprano sax, baritone sax, clarinet, sansula

Recorded at Curtis Schwartz Studios, England, 2009. Recorded and mixed by Curtis Schwartz. Mastered by Curtis Schwartz.
Produced by Jim Tomlinson for Token Productions.
All arrangements by Jim Tomlinson.

コケティッシュなウィスパーボイスが魅力のステイシー・ケントのニューアルバム。前作「市外電車で朝食を」ではフランス文化省からの勲章、グラ ミー・ノミネートなど世界的成功を収めていたステイシー・ケント。ほぼ3年ぶりの新作です。彼女が愛するフランスのスタンダード/クラシックス・ナンバー を歌い上げた作品で、書き下ろしの新曲も含む全12曲。

ステイシー・ケントは1968年ニューヨークに生まれ、1991年頃に渡英。そこで出会ったジャズ・サックス・プレーヤーのジム・トムリンソンと 出会い結婚し、イギリスに生活拠点を移して音楽活動を行っています。97年に『CLOSE YOUR EYES』で名門 CANDIDレーベルからUKデビューを飾り、以降もコンスタントに作品を発表しています。日本では2002年からキングレコードにおいて過去作品を含め 5枚のアルバムがリリースされています。


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2010年4月18日日曜日

新しいトライアルから:小曽根真~ロード・トゥ・ショパン

新しいトライアルから:小曽根真~ロード・トゥ・ショパン
昨夜の東京は冬にまいもどったかのようでした。今日は、うってかわって春の一日。春らしい陽射しのもとで、小曽根さんの最新アルバムです。


road to chopin / Makoto Ozone
小曽根真

1 無くてはならぬものの無く
2 マズルカ 第13番 イ短調 作品17の4
3 ワルツ 第6番 変ニ長調 《子犬》
4 前奏曲 第4番 ホ短調作品28の4
5 練習曲 第4番 嬰ハ短調 作品10の4
6 前奏曲 第15番 変ニ長調 作品28の15からの即興
7 マズルカ 第24番 ハ長調 作品33の3からの即興
8 ワルツ 第7番 嬰ハ短調 作品64の2
9 マズルカ 第40番 ヘ短調 作品63の2
10 ポロネーズ 第3番 イ長調 作品40の1《軍隊》
11 夜想曲 第2番 変ホ長調 作品9の2
12 マズルカ 第2番とポーランド民謡

日本のジャズ・ピアニストの第一人者、小曽根真さんがクラシックのショパンのピアノ作品からインスパイアーされたさまざまなショパンを演奏する1枚 です。NYで活躍しているグレゴアー・マレさんも2曲で参加。彼が奏でるハーモニカ、ちょっとシールマンス風でもあり、音数の少ないいい感じのデュエット になっています。
録音は、ワルシャワのルトスワフスキ・スタジオで収録され、ポーランドのショパン・インステュートの公認レコーディングとなっているとか。ヤマハらしいピ アノ音色といい、とてもいい録音です。

「子犬のワルツ」などショパンのメロディーに、なつかしい小曽根節が炸裂します。「ワルツ 第7番」も原曲を聴かせつつ、小曽根さんならではの展開。一方、「練習曲 第4番」は譜面のまま。清水和音さんの個人指導を受けたといっていましたが、その努力が伝わってきます。


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2010年4月17日土曜日

贅沢なデュオ・アルバム:カティア・ラベック/シェイプ・オブ・マイ・ハート~Katia LABEQUE SHAPE OF MY HEART(feat. スティング、チック・コリア、ハービー・ハンコック、ゴンサロ・ルバルカバほか)

贅沢 なデュオ・アルバム:カティア・ラベック/シェイプ・オブ・マイ・ハート~Katia LABEQUE SHAPE OF MY HEART(feat. スティング、チック・コリア、ハービー・ハンコック、ゴンサロ・ルバルカバほか)

季節はずれのみぞれの降る夜、ふしぎなアルバムの登場です。ラベック姉妹の姉、カティア・ラベックとさまざまなアーティストのデュオ・アルバム。お相手は といえば、スティング、チック・コリア、ハービー・ハンコック、ゴンサロ・ルバルカバほかとつづきますから、なんと贅沢のとりあわせでしょう。

カティア・ラベック/シェイプ・オブ・マイ・ハート
Katia LABEQUE SHAPE OF MY HEART

・スティング/テスカリ編:ムーン・オーヴァー・バーボン・ストリート(スティング&カティア)
・スティング/マリク編:シェイプ・オブ・マイ・ハート(スティング&カティア)
・エヴァンス/コリア&マレス編:ウィ・ウィル・ミート・アゲイン(チック・コリア&カティア)
・ロジャース&ハート/ハンコック&ラベック編:マイ・ファニー・ヴァレンタイン(ハービー・ハンコック&カティア)
・ショパン:前奏曲第4番ホ短調Op.28-4(カティア)
・レディオヘッド・マリク編:イグジット・ミュージック(カティア・ラベック・バンド)
・シャルマン:ノーツ・トゥ・ザ・フューチャー(カティア&ビー・フォー・バン)
・レノン&マッカートニー/シャルマン編:ビコーズ(ダヴィッド・シャルマン&カティア&ビー・フォー・バン)
・ベラスケス/ルバルカバ編:ベサメ・ムーチョ(ゴンサロ・ルバルカバ&カティア)
・サティ:グノシエンヌ第3番(カティア)
・シャルマン:パープル・ダイアモンド(ダヴィッド・シャルマン&カティア)
・ハーマン:歌劇『嵐が丘』より瞑想曲(カティア)

カティア・ラベック(ピアノ)
スティング(ヴォーカル)
チック・コリア(ピアノ)、ハービー・ハンコック(ピアノ)
カティア・ラベック・バンド
ビー・フォー・バン(ピアノ)、ゴンサロ・ルバルカバ(ピアノ)
ダヴィッド・シャルマン(ヴォーカル&ギター)

まずは、輸入元の紹介をみてみましょう

■アルバム・タイトルにもなっているスティングの「シェイプ・オブ・マイ・ハート」で絡み合うヴォーカルとピアノ。チッ ク・コリアとのデュオが紡ぐあまりにも儚く美しいビル・エヴァンスの「ウィ・ウィル・ミート・アゲイン」。そしてハービー・ハンコックとのデュオで贈る ジャズのスタンダード・ナンバー「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」や、ルバルカバとカティア、そしてラテンのリズムとジャズのインプロヴィゼーションが ドラマチックに出会った「ベサメ・ムーチョ」など、収録12トラックはどれも甲乙つけがたい眼から鱗の演奏ばかり。

■収録曲は他にも、英国のロック・バンド“レディオヘッ ド”の作品「イグジット・ミュージック」や、ビートルズの作品「ビコーズ」、カティアのピアノ・ソロではショパンや、エリック・サティの作品も収録するな ど多彩。メロディアスな曲の中から垣間見られる内に秘めた熱い情熱と独創的な表現力が聴き手の想像力を掻き立てる。ジャンルの枠を越えたゴージャスでスペ シャルなクロス・オーヴァー・アルバムの登場です!

ふしぎなアルバムです。通常のデュオ・アルバムはたいがい仲良し組だったりするので、互いに補完しあというか、互いを助け合うのですが、今回のこの アルバムでは、いい意味で、どのふたりも水と油のように混じり合わないのです。


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http://wp.me/sMonj-666

2010年4月16日金曜日

「トラヴェシーア( Travessia )」は、実現した夢なのだ~ミルトン・ナシメント(Milton Nascimento)

今日の東京は寒い一日でした。あたたかな歌声を求めて今夜の一枚は、ミルトン・ナシメントです。

トラヴェシーア Travessia
ミルトン・ナシメント Milton Naschimento

1. トラヴェシーア Travessia
2. トレス・ポンタス Tres Pontas
3. 信じる心 Cenca
4. イルマォン・ヂ・フェー Irmao de FE
5. 塩の歌 Cancao Do Sal
6. 風車 Catavento
7. モーホ・ヴェーリョ Morro Velho
8. ジラ・ジロウ Gira Giro
9. マリア,ミーニャ・フェー Maria, Minha FE
10. 十月 Outubro

ブラジルでは親しみを込めて、”A Voz do Brasil”(ブラジルの声)と呼ばれているミルトン・ナシメント。67年にリリースしたデビュー・アルバムは長らくCD化されておらず幻の作品とされ てきました。その「トラヴェシーア」がミルトンが60歳となる2002年にリマスタリングされてブラジル国内で初CD化、そして翌03年には日本でもリ リースされましたた。今回ご紹介するのはその日本盤です。

まずは1曲目からいきなりの名曲「トラヴェシーア」です。独特の歌声と何かを包むような安心感とでもいうべき曲づくり。ミルトン・ナシメントはミル トン・ナシメントでしかない・・そんな感覚にとらわれます。そしてまたこのアレンジがデオダート(Eumir Deodato)らしいオーケストレーション。

このあたりの経緯、ライナーノーツに彼自身のことばで触れられているので、ちょっと引用してみましょう。

このアルバムは、僕にとって決定的に重要な位置を占めている。自分の最大の夢の一つがここに実現したからだ! タンバ・トリオと知り合って以来、僕 はずっと彼らとレコーディングしたいと思っていた。アルバムを作る話が来た時、伴奏は当時すでにタンバ4となっていたタンバでなければイヤだと、僕は言っ た。しかし、最初のアルバムからルイジーニョ・エサのアレンジでやれるとは、本当に祝福されていたとしか思えない。

2曲だけは、エウミール・デオダートによるオリジナルのアレンジをルイジーニョが変更して用いている。なぜかというと、1967年に国際歌謡フェス ティバルに参加した時点で、エウミールはすでに僕の後見人となっていたからだ。僕はフェスティヴァルに「トラヴェシーア Travessia」「モーホ・ヴェーリョ Morro Velho」と、マエストロのリリオ・パニカーリのアレンジでアゴスチーニョ・ドス・サントスが歌った「マリア、ミーニャ・フェー Maria, minha fe」の3曲でエントリーしていた。本当は、最後のもの以外の曲はエリス・レジーナに歌ってほしかったのだが、翌日には米国へ発とうとしていたエウミール が、僕が歌うのでなければアレンジは書かないと言った。そんなわけで、僕自身で歌う決心をしなければならなくなった。


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2010年4月15日木曜日

フィエスタ!(FIESTA)~グスターボ・ドゥダメル(GUSTAVO DUDAMEL)&シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ(SIMON BOLIVAR YOUTH ORCHETR


フィエスタ!(FIESTA)~グスターボ・ドゥダメル(GUSTAVO DUDAMEL)&シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ(SIMON BOLIVAR YOUTH ORCHETR



南米は、音楽においてやはりとてもチャーミングな地域。ここで最近ライヴを紹介しただけでも、先日のアウグスティンはアルゼンチンですし、イヴァン・リン スはブラジル・・。さて今日は、ベネズエラのクラシック、ドゥダメル&シモン・ボリバル・ユース・オーケストラです。

フィエスタ!(FIESTA)
グスターボ・ドゥダメル(GUSTAVO DUDAMEL

シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ
(SIMON BOLIVAR YOUTH ORCHETRA OF VENEZUELA)

1. センセマヤ
2. マルガリテーニャ 交響的変奏曲
3. 平原の真昼
4. ダンソン 第2番
5. フーガ・コン・パハリージョ 弦楽のための組曲 第1番(管弦楽版)から
6. バレエ≪エスタンシア≫から舞曲 作品8 1.農園で働く人々
7. バレエ≪エスタンシア≫から舞曲 作品8 2.小麦の踊り
8. バレエ≪エスタンシア≫から舞曲 作品8 3.大牧場の牛追い人
9. バレエ≪エスタンシア≫から舞曲 作品8 4.終幕の踊り(マランボ)
10. パカイリグアの聖なる十字架 交響組曲
11. マンボ ≪ウェスト・サイド・ストーリー≫からシンフォニック・ダンス

もはや、誰もが知るベネズエラの若手指揮者、グスターボ・ドゥダメル。彼が、シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラを指揮し て、中南米を中心にアメリカ大陸の作曲家の管弦楽曲を収めた一枚です。

このアルバムを聴くと、ドゥダメル初来日の時の興奮を思い出します。いまは残念ながら放送がなくなってしまったCBSドキュメントで何度も紹介され た、ベネズエラの貧困から音楽で人々を救うシモン・ボリバル・ユース・オーケストラの取り組み。そして、そこから誕生した若手ながらも群を抜いてチャーミ ングな指揮者グスターボ・ドゥダメル。
一作年の暮れも迫った頃、初来日がありました。ラヴェルほかいわゆるクラシックと、南米音楽を披露。総勢200人かもと思えるほど、圧倒的多数の彼らが、 池袋の東京芸術劇場のステージにところせましとのり、全身で音楽の悦びをストレートに表現しながら、それでいて、圧倒的に技術力の高い音楽を奏でます。も ちろんドゥダメルの指揮はチャーミングで、そこから生み出される音楽は、躍動的でグルーブ感あふれるものなのですが、さらに驚くべきは、シモン・ボリバ ル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラの圧倒的集中力でした。

ドゥダメルは、米Time誌の2009年度「世界で最も影響力のある100人」にも選出されています。ゴードン・ブラウン、ヒラリー・クリントン、 ジョージ・クルーニー、ペネロペ・クルス、ヴェルナー・ヘルツォーク、アンゲラ・メルケル、バラク・オバマ米大統領とミシェル夫人、ブラッド・ピット、 テッド・ターナー、オプラ・ウィンフリー、ケイト・ウィンスレット、タイガー・ウッズといった著名人たちの一群に名を連ねているのですから、その期待され ぶりがわかるというもの。


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2010年4月14日水曜日

名盤発見 Yesterdays ~ キース・ジャレット Keith Jarrett ゲイリー・ピーコック Gary Peacock ジャック・デジョネット Jack DeJohnette

名盤発見 Yesterdays ~ キース・ジャレット Keith Jarrett ゲイリー・ピーコック Gary Peacock ジャック・デジョネット Jack DeJohnette

昨夜は、櫻のさいごのつぼみをみあげながら、散歩をしました。もはや夜桜の花見客もなく、静かな時間。さくらと会話ができたようなちょっと充実した時間で した。夜更けの静かな時間には、キース・ジャレット(Keith Jarrett)も似合います。

Yesterdays
Keith Jarrett
Gary Peacock
Jack DeJohnette

1. Strollin’ (Horace Silver )
2. You Took Advantage Of Me (Richard Rodgers/Lorenz Hart)
3. Yesterdays (Jerome Kern/Otto Harbach)
4. Shaw’nuff (Dizzy Gillespie/Charlie Parker )
5. You’ve Changed (Carl Fischer/Bill Carey)
6. Scrapple From The Apple (Charlie Parker)
7. Sleepin’ Bee (Harold Arlen/Truman Capote)
8. Intro (Keith Jarrett)
9. Smoke Gets In Your Eyes (Otto Harbach/Jerome Kern)
10. Stella By Starlight (Victor Young/Ned Washington)

★M1-8: 2001年4月30日、東京文化会館にてライヴ収録
M9: 2001年4月24日、Bunkamuraオーチャード・ホールのサウンドチェック時に録音

キース・ジャレット・トリオの2001年のイエスタデイズ(YESTERDAYS)は、キース・ジャレットが、楽しそうに奏でる、ご機嫌なアル バムです。
2001年の日本ツアーの最終日である上野・東京文化会館公演を収めたライヴ作品です。90年代後半に病気で長らく演奏活動を中断していたキー ス・ジャレットにとって、このときの来日公演はトリオとしては実に5年ぶりとなるもの。満員の聴衆の中で繰り広げられた伝説のパフォーマンスです。
収録曲は、スタンダード・ナンバーの数々。さらに、最後に収められた「星影のステラ」は、渋谷オーチャード・ホール公演のサウンドチェック時の 貴重な演奏とのこと。演奏会当日、演奏が始まるまで、何を弾くか誰にもあかさない、キース・ジャレットとにとっては、サウンドチェック時の演奏が録音され ていることも稀でしょうから、CD 化されるというのも、とても特別なことのような気がします。
彼の来日ライブは、常に即日完売するのが常でしたが、以前ほどではないともききます。それでも、文化会館や東京芸術劇場が3日~4日も結局はいっぱいにな るのですから、ジャズ・アーティストとしては不動の集客力かもしれません。

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2010年4月13日火曜日

「『正解』に囚われない知性を」「国境なき東大生」VS「学の独立」「グローバル早稲田」~東京大学・早稲田大学それぞれの入学式式辞

4月も櫻の散るころ。この頃になると、いろいろなところで入学式のシーズンですね。

4月12日、東京大学の入学式があったとのこと。東京大学の式辞は、かつて、卒業式で当時の大河内一男総長が、J.S. ミルの言葉「ふとった豚になるよりは、痩せたソクラテスになれ」を引用するなど、なかなか時代を反映していて興味深いです。今年はと思ってみてみることに しました。ちょっと長いですが、全文引用します。

平成22年度東京大学学部入学式総長式辞
平成22年(2010年)4月12日

東京大学総長  濱田 純一

東京大学に入学なさった皆さん、おめでとうございます。東京大学の教職員を代表してお祝いを申し上げます。これから皆さんが、この大学のキャンパス で、充実した学生生活をお送りになることを願っています。

そして、また、皆さんがいま、こうしてここにいることを可能にして下さった、皆さんのご家族はじめご関係の皆さまにも、心からお祝いを申し上げたい と思います。

今年の学部入学者は3,163名です。その内訳は、いわゆる文系の皆さんが1,310名、そして理系の皆さんが1,853名となります。また、後期 日程での合格者は、98名です。男性と女性の割合は、およそ4対1、また、留学生の数は46名です。

これだけの多くの数の皆さんに、長い歴史と伝統を持つ東京大学の、もっとも若々しい力として、これから活躍いただくことになります。

東京大学については、皆さんはすでにいろいろなことを知っていると思いますが、この機会に改めて、これから皆さんが、その中で少なくとも4年間を過 ごすことになるであろう、東京大学という組織の全体像を、簡単にお話しておこうと思います。

東京大学の教員は、およそ4,000名近くいます。また、事務系・技術系の職員は約2,000名、そして在籍している学生の数は、およそ2万8千名 で、学部学生の数と大学院学生の数が、ほぼ半々という状況です。東京大学の主なキャンパスは、本郷と駒場、そして柏の3つですが、さまざまな実験施設や観 測施設、演習林などが、北海道から鹿児島まで、日本全国に存在しています。さらに海外にも、各国の大学や研究機関との協力によって、何十もの研究の拠点が あります。皆さんが旅行などをした時に、思いがけないところで東京大学の表札に出会うことがあるかもしれません。

東京大学では、このように、たくさんの教職員や学生が、日本だけでなく世界のさまざまな場所で、人間の存在や生命現象の仕組み、そして、宇宙や物質 の成り立ちに対する根源的な研究、また、人々の社会生活を支える科学技術の開拓、あるいは社会的な制度や理論の構築など、幅広く多様な学術研究に携わって います。そして、それらの豊かで高度な研究を基盤として、未来の社会を担うべき人材が育成されています。

この人材育成、つまり教育の内容については、カリキュラムの改善をはじめ、東京大学ではさまざまな努力を重ねてきました。学術の確かな基盤をしっか りと身につける専門教育の高い水準とともに、教養学部で行われているリベラルアーツ教育は、東京大学の大きな特徴です。「知」の大きな体系や構造を見せる 「学術俯瞰講義」、また、新しい課題にこたえる学部横断型の教育プログラムといったものも実施されています。

また、こうした授業そのもののほかに、奨学制度やキャリアサポートの充実、さらに学生相談体制の整備なども、大学として近年とくに力を入れてきてい るところです。

このような教育環境を整えることによって、皆さんが持っている素晴らしい能力が、この東京大学において、さらに大きく花開くことができるように、引 き続き力を注いでいきたいと考えています。

皆さんが大学に入って、戸惑うことは少なからずあると思います。授業時間の長さや授業のスタイルに、最初は慣れない感じを受けることでしょう。ま た、選択できる授業科目の幅の広さ、多彩さから、授業ごとに変わる教室間の移動距離などまで、高校時代とは大きく異なる環境に出会うことも多いと思いま す。

それは、私自身がいまから40年あまり前に皆さんと同じように入学した当初に、感じたことでもあります。それは一種のカルチャー・ショックのような ものでしたが、振り返るといろいろなことを思い出します。日々の生活上のことはさておき、「学問との出会い」ということで言えば、印象に残っていること が、二つあります。

一つは、授業で「答え」というものをなかなか教えてくれないなあ、ということでした。大学の授業の中では、概念の定義や論理の組立て、あるいは研究 の進め方などをいろいろ学びますが、「正解」というのは、必ずしもすぐには出てきません。これが一つ、私にとって大きな戸惑いでした。このことは、「『正 解』に囚われない知性を」、というタイトルで、すでに皆さんに届いているはずの『教養学部報』にも記しておきました。ここでは繰り返しませんが、学問の世 界では、そう簡単に「正解」というところには到達できないような問題や、「正解」がたくさんある問題、あるいは、そもそも「正解」という観念がないような 問題も少なくありません。それは、これまでの皆さんの受験勉強とは、大きく違うところです。


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2010年4月12日月曜日

名盤発見 至宝デュオ:The Tony Bennett Bill Evans Album~ビル・エヴァンス&トニー・ベネット 

名盤発見 至宝デュオ:The Tony Bennett Bill Evans Album~ビル・エヴァンス&トニー・ベネット 

井上ひさしさんが亡くなったという報をきいて、こころにぽっかりと穴があいたような気がした日曜日でした。数 日前、新作の芝居は差し替えになったけれど、お元気で執筆されている・・という記事を読んだばかりだったので、なおさら驚きが大きかったのかもしれませ ん。ご冥福をお祈りします。
穏やかに一夜をすごすのに、よいデュオ・アルバムを選んでみました。トニー・ベネット(Tony Bennett)とビル・エヴァンス(Bill Evans)です。
The Tony Bennett Bill Evans Album


こちらで試聴できます

1. Young And Foolish
2. Touch Of Your Lips
3. Some Other Time
4. When In Rome
5. We’ll Be Together Again
6. My Foolish Heart
7. Waltz For Debby
8. But Beautiful
9. Days Of Wine And Roses

昨日にひきつづきのデュオ・アルバムです。ビル・エヴァンスとトニー・ベネットというもうこれ以上は考えられない組み合わせ。互いの名手が、一音一音を大 切に歌い、奏でていく感じです。ビル・エヴァンスの数あるアルバムの中でも、五指に入るひとつでしょう。

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2010年4月11日日曜日

超名盤 Stan Getz / Kenny Barron スタン・ゲッツ / ケニー・バロン / People Time

今日は一日、あたたかい春の日でした。青山の界隈でも、オープン・マーケットが開催されていて、多くの人がとても楽しそうに行き交っているのを見ると、こ ちらの気持ちもほわっとしてくる、そんな時間でした。
今日は、久々のデュオ・アルバムです。傑作のほまれ高いスタン・ゲッツとケニー・バロンによるピープル・タイムです。

Stan Getz / Kenny Barron スタン・ゲッツ / ケニー・バロン / People Time

ディスク:1
1. East of the Sun (And West of the Moon)
2. Night and Day
3. I’m Okay
4. Like Someone in Love
5. Stablemates
6. I Remember Clifford
7. Gone With the Wind

ディスク:2
1. First Song (For Ruth)
2. There Is No Greater Love
3. Surrey With the Fringe on Top
4. People Time
5. Softly, As in a Morning Sunrise
6. Hush-A-Bye
7. Soul Eyes

1991年の3月3, 4, 5 & 6日にコペンハーゲンのカフェ・モンマルトルに出演したライブ盤です。この収録3ヶ月後に亡くなったスタン・ゲッツにとって実質的に最後の録音となりまし た。

1曲、1曲のこころのこもり方が素晴らしいのひとことにつきます。演奏の終わったあとの拍手までの静寂が、会場にいた観客と演奏者との一体となった 集中の度合いの深さを語っているようです。

病に侵された満身創痍の状態で亡くなる直前のものとは到底思えないくらい好調に聴こえますが、後年ケニー・バロンは、ゲッツがソロを終える度に息を 切らしていて体調が良くないことは一目瞭然だったと語っています。


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2010年4月10日土曜日

名盤発見 静寂の中に繊細な音を聴かせる・・フォステクス(FOSTEX) ヘッドフォンアンプ~HP- A7 

名盤発見 静寂の中に繊細な音を聴かせる・・フォステクス(FOSTEX) ヘッドフォンアンプ~HP- A7  

今日、目黒川の緑道を歩いていたら、見事な花吹雪に見舞われました。美しい。お芝居の紙吹雪ではなく、本当の 花吹雪は、可憐で凛としていてとても素敵だ・・とあらためて思ったのでした。今日は、繊細で精緻な感覚を伝えるヘッドフォン・アンプ、フォステクス 「HP-A7」です。

FOSTEXは、業務用のオーディオメーカーとして知られます。最近は、民生用にも積極的に進出していて、特にヘッドフォンまわりは製品が多く発売 されています。ヘッドフォン・アンプも、マルチな出力のものと、「HP-A3」「HP-A7」のいわゆるオーディオ用の2機種が発売されています。

今日は、そのHP-A7。第一印象は、解像度の高さ。楽器の一つ一つがクッキリと浮かび上がってくる感じです。アコースティックなソースではその生 々しい、鮮やかな音色に驚かされます。人によっては、やや平たんなイメージを感じるかもしれませんが、むしろ、静寂の中から確実に音をトレースしている感 じがなかなかいいのです。この精緻な感じこそがきっとこのアンプの持ち味のように思えてきて好感がもてるのです。


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2010年4月9日金曜日

名盤発見 ふしぎな手触りのロックなビッグバンド「シカゴ:CHICAGO~NIGHT & DAY BIG BAND」

名盤発見 ふしぎな手触りのロックなビッグバンド「シカゴ:CHICAGO~NIGHT & DAY BIG BAND」

4月もはや1週間がすぎました。フレッシュマンたちの姿もこころなしか、社会に染まってきたそんな頃合いでしょうか。今日は、楽しいビッグバンド・アルバ ム・・CHICAGOです。


シカゴ:CHICAGO
NIGHT & DAY BIG BAND

01 CHICAGO シカゴ
02 CARAVAN キャラヴァン
03 DREAM A LITTLE DREAM OF ME ドリーム・ア・リトル・ドリーム・オブ・ミー
04 GOODY GOODY グッディ・グッディ
05 MOONLIGHT SERENADE ムーンライト・セレナーデ
06 NIGHT & DAY ナイト・アンド・デイ
07 BLUES IN THE NIGHT ブルース・イン・ザ・ナイト
08 SING, SING, SING シング・シング・シング
09 SOPHISTICATED LADY ソフィスティケイテッド・レディ
10 IN THE MOOD イン・ザ・ムード
11 DON’T GET AROUND MUCH ANYMORE ドント・ゲット・アラウンド・マッチ・エニモア
12 TAKE THE “A” TRAIN A列車で行こう


ブラスロックバンドとして長いキャリアを持つシカゴが、ジャズのスタンダード・ナンバーに挑戦した、ビッグ・バンド・ジャズアルバムです。プロ デュースは、エアロスミス、ヴァンヘイレン、ボンジョビなどで知られるブルース・フェアバーン。
Chicagoのメンバーは彼らの音楽を"Rock'n'Roll with Horns"と言っていますが、ビッグバンドは彼らの大きなバックボーンになっていることは否定できないでしょう。昔デューク・エリントンに「君達 (Chicago)は私の後継者なのだ」と言われたという逸話が正にうなづけるアレンジと演奏です。

CHICAGO・・これほど、人によってイメージの違うバンドも少ないでしょう。僕にとっては、「ぼくらに微笑みを(make me smile)」や「長い夜(25 or 6 to 4)」の硬派のイメージですが、多くの人にとっては、「サタデー・イン・ザ・パーク(Saturday in the park)」でしょうし、あるいはその後のラブ・バラードだったりするかもしれません。


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2010年4月8日木曜日

名盤発見 チック・コリアとゲイリー・バートン~オーケストラとの見事な共演:THE NEW CRYSTAL SILENCE /CHICK COREA & GARY BURTON

名盤発見 チック・コリアとゲイリー・バートン~オーケストラとの見事な共演:THE NEW CRYSTAL SILENCE /CHICK COREA & GARY BURTON

チック・コリアの名演をきいていたら、最近の録音をいろいろと思い出していました。今日もひきつづき、チック・コリア特集。今回はゲイリー・バートンとの 比較的新しい録音盤です。
THE NEW CRYSTAL SILENCE / COREA & BURTON

[Disk1]
1 デュエンデ/ Duende
2 ラヴ・キャッスル/ Love Castle
3 ブラジリア / Brasilia
4 クリスタル・サイレンス/ Crystal Silence
5 ラ・フィエスタ/ La Fiesta

[Disk2]
1 バ ド・パウエル/ Bud Powell
2 ワルツ・フォー・デビイ/ Waltz For Debby
3 アレグリア/ Alegria
4 ノー・ ミステリー/ No Mystery
5 セニョール・マウス/ Senor Mouse
6 スウィート・アンド・ラヴリー / Sweet and Lovely
7 アイ・ラヴ・ユー・ポーギー/ I Love You Porgy
8 ラ・フィエスタ/ La Fiesta

Chick Corea(p)
Gary Burton(vibraphone)
Sydney Australia Symphony

1972年、ECMよりリリースされた、チック・コリアとゲイリー・バートンによる歴史的名盤 『CRYSTAL SILENCE』の発表から35周年を記念して、新録音された2枚組です。

昨夜、チック・コリアの還暦アルバムを聴きこんでいたら、やはりゲイリー・バートンとのデュオは、1曲じゃなくて、もっとまとめてきちんと聴きたく なりました。で、ご案内するのは、チック・コリアとゲイリー・バートンの 「Crystal silence」の発売から35周年の記念した、ライブ・アルバムです。
Disc1はふたりとSydney Australia Symphonyとの共演。Disc2は2007年の6月に行われたヨーロッパで最も古くから続く由緒あるジャズ・フェスティバル、ノルウェーのThe Molde Jazz Festivalでのデュオのライブです。

オーケストラ・ライブは、ありそうでいて、ジャズシーンとなると実はなかなかないもの。チック・コリアとゲイリー・バートンはふたりだけでも十分成 立する音楽なのですが、このオーケストラ盤をきくと、これはこれで贅沢で、なかなか素敵です。オーケストラの音量に負けじとふたりそれぞれが鼓舞されてい るようなところがなかなかいいのです。


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2010年4月7日水曜日

名盤発見 音楽の境地:チック・コリア(CHICK COREA)&ボビー・マクファーリン(Bobby McFerrin)~ランデヴー・イン・ニューヨーク(RENDEZVOUS IN NEW YORK) 


名盤発見 音楽の境地:チック・コリア(CHICK COREA)&ボビー・マクファーリン(Bobby McFerrin)~ランデヴー・イン・ニューヨーク(RENDEZVOUS IN NEW YORK) 

寒い日がつづいてきたと思ったら、やっと暖かくなってきました。今日はまさに春のいちにち。こころがちょっとウキウキしてきました。こんな日には、 素敵なチック・コリアのライブ盤です。


チック・コリア:ランデヴー・イン・ニューヨーク
CHICK COREA : RENDEZVOUS IN NEW YORK



チック・コリアは、1941年マサチューセット州チェルシー生まれのピアニスト。ジャズ・トランペッターの父親から影響を受けピアノを習い始めたと か。1960年代にモンゴ・サンタマリア楽団、ハービー、マン、スタン・ゲッツのグループに参加。1968年にはマイルス・デイビスの記念碑作品「イン・ ア・サイレント・ウェイ」「ビッ チェズ・ブリュー」に参加して話題を集めました。1972年、リターン・トゥ・フォーエヴァーを結成、1970年後半にはハービー・ハンコックや、ゲイ リー・バートンなどとのアコースティックな作品も残しています。

今回のアルバムは、チック・コリア、音楽生活40周年記念のいわば還暦祝いイベントとして、2001年12月にひらかれたもののライブ盤。ニュー ヨークのブルーノートに3週間連続して出演、2日ごとに違うメンバーと共演しています。

これまでのチックの歴史をみるような構成になっていて、ボビー・マクファーリンとのデュオ、アコースティック・バンド、マイケル・ブレッカーを加え たスリー・クァルテッツ、オリジン、ゴンサロ・ルバルカバ、あるいはゲイリー・バートンとのデュオなど、チック・コリアの広い音楽史がみてとれます。

全部が全部まさにチック・コリアが楽しそうに演奏していていいのですが、それにしてもなんと言っても素晴らしいのは、ボビー・マクファーリン (Bobby McFerrin)との3曲でしょうか。ふたりのやりとり、駆け引きというか、そのあたりの絶妙さは、ジャズの境地というか、音楽の境地がまさにそこにあ るのです。



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2010年4月6日火曜日

名盤発見 まったくあたらしい次元の音:ゼンハイザー(Sennheiser)ヘッドフォン HD800

名盤発見 まったくあたらしい次元の音:ゼンハイザー(Sennheiser)ヘッドフォン HD800

春を迎え、新入生の季節。フレッシュマンが新しい空気をもってきてくれます。日々利用するヘッドフォンにも、新鮮な仲間がやってきて、ちょっと新しい風が 吹きました。

仕事で音を確認するときにかかせないもののひとつが、ヘッドフォン。いろいろな場面での利用法がありますが、僕のいままでの定番製品は、ゼンハイ ザー(Sennheiser)のHD650でした。クラシック音楽に似合うという人も多い、ゼンハイザーのフラッグシップモデル。ナ チュラルなアナログな音場空間は、とてもぜいたくなもので、リラックスな気分を誘うものでした。

しかし、今回やってきたゼンハイザーの新製品、新しいフラッグシップモデルHD800は、・・まったくの異次元の音だったのです。

まず、外観から。立派な箱からとりだすときは、まるで宝物のよう。見た目も、いままでの最高級製品HD650と比べても、ちょっとおおぶりになった 感じでしょうか。手にもった質感も贅沢ですし、ケーブルが太くしっかりしていて、第一印象で、いままでの製品とはまったくの別ラインで製造されてきたこと がわかります。

そして、音です。
はじめて聴いたとき、身震いする自分があるのが自覚できました。

何かと比較するべきでない、まったくあたらしい体験なのです。ずいぶんといろいろなゼンハイザーを聴いてきましたが、そのどれとも似ていない。もち ろんHD650に比べてもまったく別種。しかし、それでいながらメーカーが違うという感じではなく、2段階も3段階も一挙に進化してしまっていて、別種の ものに感じるというイメージなのです。


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2010年4月5日月曜日

名盤発見 音楽市場での原点:手売りからタワーレコードへ~路上ベーシスト「兄蔵」の成功

名盤発見 音楽市場での原点:手売りからタワーレコードへ~路上ベーシスト「兄蔵」の成功

今日は、ベースソロプレイヤーです。
もう、随分前から新宿の駅前路上で活躍しているので、彼の名前をきいたことはなくても、彼の演奏を聴いたことがある方は多いかもしれません。

彼の名は兄蔵。ちょっと大きめの独特のベースをもち、奏でる音楽もベース一本とは思えないほど、ひとつの音楽として完成されたもの。プレイのテンポ とかはちょっと違いますが、スタンリー・ジョーダンやマイケル・ヘッジズのベース版という方向性のタイプの音楽といえばよいでしょうか。

彼の音楽に足をとめ、直接手売りのCDを買ったのは、かれこれもう10年くらい前になるでしょうか。プレイをたっぷりと楽しみたくて、ライブハウス でプレイするところに聞きに行ったことも随分とありました。
新宿駅南口をとおるたびに、ギャップの前の広場のあたりで、独特のベースの音が聞こえてくると、何かうれしくなり、ついつい立ち止まってきいてしまいま す。小雨の中でも、風の日でも、自らアンプとバッテリーをもち、黙々とプレイする姿は、ちょっと神々しくさえあったりします。


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2010年4月4日日曜日

名盤発見 最新で最高のガーシュイン~ティボーデのピアノコンチェルト・イン・エフ:JEAN-YVES THIBAUDET PLYAS GERSHWIN

名盤発見 最新で最高のガーシュイン~ティボーデのピアノコンチェルト・イン・エフ:JEAN-YVES THIBAUDET PLYAS GERSHWIN

春ののどかな休日・・こんな日には、ガーシュインはいかがでしょう。


THIBAUDET PLAYS GERSHWIN
ジャン=イヴ・ティボーデ(Jean-Yves Thibaudet)

ガーシュウィン:
ラプソディ・イン・ブルー Rhapsody in Blue
『アイ・ガット・リズム』変奏曲 “I got rhythm” Variations
ピアノ協奏曲ヘ調 Piano Concert in F
ジャン=イヴ・ティボーデ Jean-Yves Thibaudet(ピアノ)
ボルチモア交響楽団 Baltimore Symphony Orcestra

ティボーデが語られるとき・・卓越した技巧をもち、才気溢れる、詩的で驚異的な名手・・・マスコミが彼を称えることばにはいつも最高の賛辞がふくま れています。感性、幅広い色彩と質感・・今回のガーシュインのアルバムでも、彼のその持ち味は最高に発揮されています。

ティボーデはフランス人とドイツ人の血を受け継ぎ、1961年、フランスのリヨンに生まれました。5歳でピアノを始め、12歳でパリ音楽院に入学 し、アルド・チッコリーニ、そしてラヴェルの友人であり仕事仲間であったリュセット・デカヴに師事。15歳の時にパリ音楽院の最優秀賞を受け、その3年後 にニューヨークで開催された若手コンサート・アーティスト・オーディションで優勝を果たしました。2001年、フランス共和国より芸術文化シュヴァリエ勲 章を授与。2002年、イタリアのスポレート音楽祭は、彼の芸術における業績と、同音楽祭への長年の関与を称え、ペガサス賞が贈られています。

レコーディングではデッカと専属録音契約をしており、これまでに30枚を超える録音をリリースしています。これまでの録音はシャルプラッテン賞、 ディアパソン賞、ショック賞、グラモフォン賞、エコー賞(2回)、エディソン賞を獲得、グラミー賞にもノミネートされるほど、彼の演奏だけでなくその録音 に対する真剣さのあらわれかもしれません。

今回のこのアルバム、ガーシュインのアルバムとして、最新にして最高のアルバムの1枚でしょう。2009年11月のライヴ録音ですが、音色の切れ味 は、ライヴ盤とは思えぬほどすばらしいもの。傑作です。

ティボーデは現代のピアニストでありながら、ヴィルトゥオーソの伝統をも汲むピアニストとしてよく語れます。超絶技巧がありながら、メカニックな演 奏技巧のやみくもな披瀝に終わることなく、作曲者の意図の再現のために、あるいはまた理想の音響を実現するための工夫・配慮が随所に感じられるからです。


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2010年4月3日土曜日

名盤発見 ビデオアーツ(VIDEO ARTS MUSIC)のこころのこもった25周年記念シリーズから:リチャード・ティー(Richard Tee)「REAL TIME」

名盤発見 ビデオアーツ(VIDEO ARTS MUSIC)のこころのこもった25周年記念シリーズから:リチャード・ティー(Richard Tee)「REAL TIME」

暖かったり、寒かったり・・あるいはまた去る人がいたり、新しい出会いがあったり・・年度の切り替えのこの時期は、こころに響く出来事がある反面、残務で 日々忙しかったりします。急な仕事も多く、おかげで今週は予定したライブを4つも逃し、微妙な気分のスタートをきった一週間でした。さて、こんなときは、 気を取り直すべく、こころやさしい大男の繊細なピアノ・・リチャード・ティー(RICHARD TEE)を聴いてみたくなりました。


リチャード・ティー(RICHARD TEE)
REAL TIME

1 ザッツ・ザ・ウェイ・オブ・ザ・ワールド That’s the Way of the World
2 ザ・ウェイ Way
3 ゴーン・トゥ・スーン Gone Too Soon
4 マイ・ファニー・ヴァレンタイン My Funny Valentine
5 アイ・ミス・ユー・ラヴ I Miss You, My Love
6 ヨー、ロメオ Yo, Romeo
7 イン・リアル・タイム In Real Time
8 愛を贈れば Send One Your Love
9 A列車で行こう Take the “A” Train
10 ア・シークレット・プレイス Secret Place
11 ウィズアウト・ユー Without You

1993年に惜しまれつつ世を去っピアニスト、リチャード・ティーの1992年発表のリチャード・ティー最後の名演です。スタッフ人脈に囲まれたご 機嫌なティー・ワールドが展開しています。

リチャード・ティー(Richard Tee)は、1943年ニューヨーク州ブルックリン生まれ。幼少時からクラシック音楽の教育を受け、ニューヨーク音楽芸術高校を卒業。卒業後モータウンレ コードのスタジオ・ミュージシャンとして活動を開始し、マーヴィン・ゲイをはじめとしてさまざまなミュージシャンとセッションをしていました。1968年 キング・カーティスのバンドに参加、1970年に はアレサ・フランクリンやロバータ・フラックのバンドにも参加しました。1967年にベーシストのゴードン・エドワーズが結成した「エンサイクロペディ ア・ オブ・ソウル」を母体にしたバンドが、1970年代にニューヨークのライブハウス「ミケルズ」で、流動的なメンバーでセッションを繰り広げていましたが、 ティーは1974年頃からこのセッションに出入りするようになったそうです。このバンドが1976年「スタッフ」としてデビューし、一大人気グループとな ります。メンバーはゴードン・エドワーズ(ベース)、 リチャード・ティー(キーボード)、エリック・ゲイル(ギター)、コーネル・デュプリー(ギター)、スティーブ・ガッド(ドラム)、クリストファー・パー カー(ドラム)。1980年に 解散するまで、このバンドは5枚のアルバムを出しています。1993年没。

フュージョンということばは、最近は死語なのかもしれませんが、やはりフュージョンといえば、スタッフ(STUFF)でしょう。その中でも、リ チャード・ティーのピアノは、あの高速な左手のプレイもあって、とても印象的です。


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2010年4月2日金曜日

名盤発見 VIRTUOSI:ゲイリー・バートン&小曽根真/Gary Burton & Makoto Ozone

名盤発見 VIRTUOSI:ゲイリー・バートン&小曽根真/Gary Burton & Makoto Ozone

花冷えといわんばかりの寒い日がつづいていましたが、いつしか目黒川の櫻も満開になり、いつもは閑散とした川端のみちも、櫻をめでる多くの人が行き交って いました。こんな日は凛とした演奏がここちよくこころに響くかもしれません。ゲイリー・バートンさんと小曽根真さんのデュエット「VIRTUOSI」で す。
「VIRTUOSI
ゲイリー・バートン&小曽根真/Gary Burton & Makoto Ozone

こ ちらで試聴できます

1 Tombeau de Couperin I-Prelude 「クープランの墓」より第1曲 前奏曲
2 Excursions I, Opus 20 「遠足」より第1曲 作品20
3 Prelude VIII, Opus 32 前奏曲 第8番 作品32の8
4 Milonga ミロンガ
5 Prelude II 前奏曲 第2番
6 Sonata K20 ソナタ K.20
7 Impromptu [From Three Little Oddities] 「スリー・リトル・オディティズ」より 即興曲
8 Piano Concerto in F-Movement III 「ヘ調のピアノ協奏曲」~第3楽章
9 Lakme Medley: Berceuse/Duettino (歌劇「ラクメ」メドレー): 子守唄|二重唱
10 Capriccio II, Opus 76 (05:55) 奇想曲 ロ短調 作品76の2
11 Something Borrowed, Something Blue サムシング・ボロウド、サムシング・ブルー

ゲイリー・バートンさんと小曽根真さんのふたりだけのデュオ・アルバムです。1曲目から、ラヴェルの「クープランの墓」・・・ふだんとは違う選曲で すが、これからして本当に素晴らしい仕上がりです。「VIRTUOSI」と題されただけあって、超人技巧的でももちろんあるのですが、その互いの演奏がと もに「主」であり、どちらかがメイン、サブという関係でないところがまたすごいのです。

そもそも、ゲイリー・バートンさんと小曽根真さんは、ともにクールなタッチのプレイで知られていますが、今回はその澄んだ音の調和が、全編にわたっ てアルバムの空気を知的なものに昇華しています。1曲目のラヴェルも、その質感がこのクールな音色とぴったりですし、また、7曲目のZez Confreyの曲でも、ヴィブラフォンの残響のある響きが、楽曲に優雅な味わいの感覚を与えているのです。


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2010年4月1日木曜日

名盤発見 ガトー・バルビエリ(GATO Barbieri)の最高傑作:chapter one : latin america

名盤発見 ガトー・バルビエリ(GATO Barbieri)の最高傑作:chapter one : latin america


3月ももう終わり。別れがあり出会いがある・・年度をまたぐこの微妙な時間は、何かこころが落ち着かないそれでいてちょっとさびしい、一年でもこの時期だ けに感じられる独特の感覚の時です。こんな日にはこころのちょっとした隙間をきっと埋めてくれるガトー・バルビエリがいいかもしれません。

ガトー・バルビエリ(GATO Barbieri
chapter one : latin america



どことなく懐かしい響きとパワフルなブローがひとつになったガトー・バルビエリの1973年のアルバムです。フリー・ジャズを視野に入れながらも独 特の哀愁味を感じさせるブローが不思議な雰囲気を醸し出しています。

ガトー・バルビエリは、1932年生まれ。アルゼンチン出身のテナー・サックス奏者です。12歳の時にチャーリー・パーカー(sax)の演奏に衝撃 を受けてクラリネットを始め、その後すぐにアルト・サックスに転向、地元の人気グループであったラロ・シフリン(p)のオーケストラに参加、50年代後半 にはテナー・サックスに転向して自身のバンドを率いるようになり、活動の拠点をヨーロッパへ移しました。60年代から自身のルーツであるラテン要素や様々 なワールド・ミュージックを音楽に取り入れ、72年にはベルナルド・ベルトリッチ監督の映画『ラスト・タン ゴ・イン・パリ』で音楽を担当し、作曲家/コンポーザーとしても世界的にも知られるようになりました。

アルバムは、1曲目の「Encuesntros」から、とにもかくにもアルゼンチンの香りたっぷりの、ガトー・バルビエリ節炸裂です。ベルトリッチ の「ラスト・タンゴ・イン・パリ」を思わせる、泣きっぷりがいいのです。そのもち味でたっぷりと聞き手をみちびきこんだあとは、2曲目「India」では アンデスの匂いたっぷりに、ラテンの民族音楽風情感を聴かせてくれます。そして3曲目は、まさに演歌。ガトー・バルビエリの魅力は結局のところ、彼にしか ない、ある種の土着性なのかもしれません。しかし、この3曲目をきくと、国境を越え、彼の祖国アルゼンチンでも、私たち日本でも、その精神構造の根幹にあ る音楽はまったくといっていいほど共通なのではないかとさえ思わされたりもします。


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