2010年12月30日木曜日

悲報 上杉アンプ

遅ればせながら年賀状を書いていたら、哀しい知らせが届いた。上杉アンプの上杉佳郎さんの葬儀を記した奥様からの手紙だった。
タンノイのウエストミンスターを購入したとき、ショップで推薦されたのが上杉アンプだった。なんの変哲もない派手さのないアンプ。当時このアンプを知らなかった僕は、なぜお店のひとがそんなにも推薦するのかわからなかったが、家でエージングの一ヶ月が過ぎた頃からそのアンプのマッチングのよさがわかってきた。
タンノイのタンノイらしい、あたたかさが見事に奏でられるのだ。すっかりファンになった。
それから数年して、ご自宅を訪ねて取材をする機会をえた。きさくな方だった。大震災で大変な目にあったけれど・・といいながらもみせてくれた倉庫には、山積みの真空管のストックと、見事に整理されて大切に保存されている雑誌の数々だった。そこの片隅に、五味 康祐の「オーディオ巡礼」の初版をみつけたときには、なるほどと思ったりもした。
ステレオサウンドの最新号に、上杉さんの姿はなく心配していたのだけれど、こんなことになるとは、想像もしなかった。いま、そんなことを知りもしない僕の上杉アンプはいつものように、タンノイを見事に奏でている。それゆえに悲しみはさらに深い。

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2010年12月27日月曜日

Q:Soul Bossa Nostra Quincy Jones ~クインシー、久々のアルバムは最高傑作

聴いてみて、何と完成度の高いアルバムと思わずうなってしまう出来です。クインシー待望のアルバム。


Q:Soul Bossa Nostra

Quincy Jones


1. Ironside feat Talib Kwali
2. Strawberry Letter 23 feat Akon
3. Soul Bossa Nostra feat Ludacris, Naturally 7, Rudy Currence
4. Give Me the Night feat Jamie Foxx
5. Tomorrow feat John Legend
6. You Put a Move on my heart feat Jennifer Hudson
7. Get the Funk out of my face feat Snoop Dogg
8. Secret Garden feat Usher, LL Cool J, Robin Thicke, Tyrese, Barry White, Tevin Campbell
9. Betcha wouldn’t hurt me feat Mary J Blige, Q-Tip, Alfredo Rodriguez
10. Everything Must Change feat BeBe Winans
11. Many Rains Ago (Oluwa) feat Wyclef Jean
12. PYT feat T-Pain and Robin Thicke
13. It’s my Party feat Amy Winehouse
14. Hikky-Burr feat Three 6 Mafia and David Banner
15. Sanford & Son feat T.I., B.o.B, Prince Charlez, Mohombi

曲それぞれの完成度もさることながら、あいかわらず、録音、ミックスのありようが尋常ではない完成度。最近のクインシーというよりは、かつてのあの 名作「back on the block」を彷彿とさせる感じす。なつかしい「ironside」 も、アルバムタイトル曲の「Soul Bossa Nostra」も、そしてバック・オン・ザ・ブロックからの「Tomoorow」「secret garden」も、もちろんアレンジは最新の音楽シーンを感じさせるものなのだけれど、和声とリズムのクールなミクスチャー感がこれがたまらなくクイン シーなのですね。


年末に登場した、今年一番のひとつとも思わせる素晴らしいアルバムです。

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2010年12月21日火曜日

鎌倉芸術館 矢野顕子の夜 ジャズ 天才 オンリーワン

鎌倉芸術館小ホールで、矢野顕子さんのリサイタルをみた。
天才ということばを軽々に使うのは、僕の流儀には反するが、彼女を聴くたびに、特にソロをきくたびに、まっさきにこのことばが浮かんでくる。すべてが「自由自在」。ピアノが何のフリクションもなくひかれ、自由に声がその上で踊り、そして音楽としてのグルーブ感があふれる。
それでいてある種の再現性があるのだ。この「再現性」というところに、天才の天才である証拠をみる気がするのだ。
今夜の公演もそれはそれはまさに自由だった。


1.PRESTO
2.電話線
3.SOMEDAY
4.DAVID
5.いい子だね
6.愛が足りない
7.塀の上で
8.恋愛宣言
9.いい日旅立ち
10.街
11.椰子の実
12.GREENFIELD

EC1.ひとつだけ
EC2.ごはんができたよ

「いい子だね」のコードのグルーブ感、「いい日旅立ち」のいい意味での破壊感、お約束の「ひとつだけ」、なつかしい「ごはんができたよ」・・など矢野ファンには泣ける選曲だっただろう。
そして何よりも、鎌倉特有のとてもいい聴衆に、すべてがパーフェクトなライブ。まさに一期一会であった。

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デュトワ N響 よこはまみなとみらいホール ラヴェル ピアノコンチェルト

デュトワのラヴェルがききたくて、よこはまのみなとみらいホールをたずねた。

シャルル・デュトワ(指揮)
ピエール=ロラン・エマール(Pf)
NHK交響楽団


ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調
ショスタコーヴィッチ:交響曲第8番 ハ短調 作品65

(アンコール)
ピエール・ブーレーズ:12のノタシオン

実は、今回は意外とデュトワ的ではなかった・・というのが率直な感想。ピアノのロラン・エマール氏がやさしくさらっとしたピアノを弾くことも影響していたのだろう。デュトワのこくのある饒舌なラヴェルにはどうしてもならなかったのだ。
以前、ポゴレリッチのときにもデュトワとは相性があわなかったが、それとはまったく別の意味で、今回も相性という意味では、いまひとつだったのだろう。

しかし、それにしてもの収穫は、N響。前回のプレヴィンのときにも思ったが、ぐんぐんうまくなっているというのか、素敵になっている。特に弦・・僕 のこころの中では常にトップはベルリンフィルのあの怒濤のような一体感のある弦だが、それに準ずるくらいのすばらしい出来。また、フランス的ではなかった けれど、打楽器もよかった。

きっと多くの聴衆が、N響をまたききたいと強く思わせられただろう・・その意味でも、とてもここちいいコンサートであったことはまちがいない。

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2010年12月13日月曜日

クールなアメリカン・ロック・ツアー 矢野顕子 さとがえるコンサート at NHKホール

矢野顕子さんのさとがえるコンサート2010最終日を見た。ベース、ドラムス、ギターと矢野さんの4人編成。必要最小限の構成で、アメリカン・ロッ ク・バンドをつくるとこうなるのだ・・という見本のようなバンド。なかでも秀逸なのは、ドラムス。ティンパニをいくつも持ち込んだような重い音色が見事に 矢野さんのピアノと調和し、大人のクールな味わいをみせていた。

さとがえるコンサート2010

矢野顕子(ピアノ・ボーカル)
マーク・リーボウ(ギター)
ジェイ・ベルロウズ(ドラムス)
ジェニファー・コンドス(ベース)


・song for the sun
・season of the end
・the wall
・good girl
・変わるし
・all the bones are white
・ひとつだけ
・恩赦
・naima
・say it ain’t so
・house of desire
・learning / manabeyo
・joy
・ラーメンたべたい
・whole lotta love

・centerpiece
・ふなまち唄


ピアノ弾き語りの「ひとつだけ」は、今日もまた泣けるし、忌野清志郎さんの「恩赦」は格別だった。アンコールの「ふなまち唄」も、ドラムスとの調和がよく、まさに最後を締めくくるには最良の選曲だった。

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2010年12月9日木曜日

宇多田ヒカル Hymne a l’amour ~愛のアンセム~

宇多田ヒカルの横浜アリーナ・コンサートのustream 中継を、今夜、見た人も多かったのではないでしょうか。ustream とはいえ、プロのスイッチング、音質・・そして、そもそも見事なショウイング・・素晴らしいものでした。

先日、発売になったsingle collection もなかなか素敵。その中でも特筆なのはやはり、愛のアンセムでしょう。エディット・ピアフのこの名曲を、ジャジーに宇多田ヒカル的に見事に歌い上げます。
Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.2 宇多田ヒカル
【Disc 1】 1. Prisoner Of Love フジテレビ系ドラマ「ラスト・フレンズ」主題歌 2. Stay Gold 花王「アジエンス」新CMソング 3. HEART STATION レコード会社直営♪CMソング 4. Kiss & Cry 日清カップヌードルTVCM FREEDOMシリーズ新テーマソング 5. Beautiful World 「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」テーマソング 6. Flavor Of Life -Ballad Version- TBS系 金曜ドラマ「花より男子2」イメージソング 7. ぼくはくま NHK みんなのうた 2006年 10月~11月のうた 8. This Is Love 日清カップヌードルFREEDOM キャンペーンテーマソング 9. Keep Tryin’ LISMO! au LISTEN MOBILE SERVICE TVCM タイアップソング 10. Passion ゲームソフト「KINGDOM HEARTS II」テーマソング 11. Be My Last 映画「春の雪」主題歌 12. 誰かの願いが叶うころ 映画「CASSHERN」テーマソング 13. Beautiful World -PLANiTb Acoustica Mix- 「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」テーマソング
【Disc 2】 1. 嵐の女神 2. Show Me Love (Not A Dream) 3. Goodbye Happiness 4. Hymne a l’amour ~愛のアンセム~  ペプシネックスCMソング 5. Can’t Wait ‘Til Christmas
そ れにしても、こうして連続してきくと、宇多田ヒカルはなんてうまい歌手なんだろう・・とあらためて実感します。ある意味で、彼女のある種の可能性はこのコ レクションでかなり追求されている感じもして、いま彼女がちょっと休憩をとって人間として充電する・・というのも、何かわかる気もします。この冬いちばん のオススメのアルバムのひとつであることは間違いありません。

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2010年12月6日月曜日

ウイスキーが、お好きでしょ ~ 竹内まりや

武道館の竹内まりやさんのライブはすごかったらしい。行きたかったなあ。なにせ、そのバックバンドときたら、
Dr:小笠原拓海、G:佐橋佳幸、PF&synth:難波弘之、EB:伊藤広規、KB:柴田俊文、Sax:土岐英史、Cho:国分友里恵、佐々木久美、三谷泰広、G,KB&Cho:山下達郎
というのだから、これは、まんま山下達郎ライブですね。暮れの大阪城ホールのライブもきっと盛り上がるのでしょうね。
このマキシCDは、例のウィスキーのCM音楽なのだけれど、「ウイスキーがお好きでしょ」の「イ」のところの声が、竹内まりや節として、ひっくりかえるところがなかなかチャーミングです。
英語版も収録されているのですが、そのオーケストラ・アレンジがさらに新しいアレンジになっていて、とても贅沢な感じを醸し出しています。

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http://wp.me/sMonj-mariya

2010年12月5日日曜日

新世界 清水靖晃 × 渋谷慶一郎

今夜は新装された西麻布の「新世界」で、清水靖晃×渋谷慶一郎のライブ。なつかしい自由劇場の跡地で、見応えのあるパフォーマンスでした。

ここのところ僕自身、風邪をこじらせたようで、久々の点滴治療。ちょっと病み上がりの身体だったのですが、なんとも贅沢な時間を共有できて、ハッピーな時空間の祭典にくらくらな感じの体験でした。
渋谷さんのグルーブ感あふれるテクノな感じに、気持ちよく即興サキソフォンがクロスする・・まるであふれでる電子の雲の中に新しい粒子がとびこんであちらこちらで美しく発光しつづけているような、快感の充填された常に変化しつづける空間がそこに創造され、楽しめます。

そうかと思うと、渋谷さんのリリカルなピアノに、清水さんの見事にコントロールされたサキソフォンの旋律が、研ぎ澄まされた完成度高いハーモニーを組み立てていて、端正な静物画をみるような空間構成もこころを豊かにしてくれる・・。

2部構成だったのですが、あっというまの時間。ライブな「空間場」に、ライブだからこそのパフォーマンスを奏でる清水靖晃さんの姿が神々しくさえあり、そ してまた、最後の1曲、「スターダスト」も何とも圧巻・・最後の最後に奏でられたこのジャズ・スタンダードの、妙になつかしく、耽美な感覚が、20年、い や30年タイムトリップを誘う・・そんな気持ちにさえさせられた贅沢な時間だったのでした。

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2010年11月22日月曜日

電子書籍奮戦記  萩野正昭(ボイジャー)

ボイジャーの萩野正昭さんの「電子書籍奮戦記」が新潮社から発売になった。発売日に早速読み始めたのだけれど、とてつもなく感動的な本だった。
もちろん、それは僕が萩野さんを存じ上げていることもあるし、そこに登場するレーザー・ディスクのことや、登場する当時のMITにたまたま番組で取材に いっていたこと、最初のマルチメディアコンテンツの「ベートーベン第九交響曲」の日本語版をつくるにあたって翻訳をお手伝いしたことなど、記憶に残ること がたくさんあるからなのだけれど、それにしても萩野さんの一途な思いと、等身大の経営哲学、その一貫性などが、いまの社会に明らかに足りない「理念」みた いなものが見事に貫かれているからで、読みすすむにしたがって、忘れていた清々しい気持ちにとらわれる自分を発見したのだった。

電子書籍奮戦記
萩野正昭


1 てんやわんやの毎日
どの視点に立つか?
インターネットの歴史
小さなものためのメディア
電子書籍とは
市場規模を見る
馬車と自動車
電子書籍を成り立たせるためのもの
電子書籍の流通とは
ボイジャー

2 異聞マルチメディア誕生記
ボブ・スタインからの電話
映画がはじめて本になるかもしれない
「ちょっと普通じゃないね」
ある夜のパーティー
エキスパンドシネマ
レーザーディスクの可能性

3 メディアを我々の手に
東映教育映画部
時間よ止まれ
パイオニア
吟遊詩人たる決意
へんてこりんなもの
ハイパーカード登場
砂の上の館
マルチメディア史に残る運命的出会い
電子書籍の誕生
振り返るとき
飛び降りる覚悟

4 本ではなく、読むを送る
ボイジャー・ジャパンの船出
テキストが最前線
日本語エキスパンドブック
新潮文庫の100冊
アリーンの思い出
本とコンピュータ
すべてがみんな飯の種
青空文庫誕生
無給社外スタッフを組織する
「必要性」が本を生み出す
「本」ではなく、「読む」を送るんだ
「電子文庫パブリ」「理想書店」開店
無駄にした一年
体質改善

5 ハードに翻弄される
侮っていた携帯電話
しかし・・
次々現れる電子書籍端末に翻弄される
きな粉とぼた餅
電子出版の哲学
視覚障碍者に学ぶ

6 電子出版の未来
インターネット・アーカイブ
ノー・アマゾン、ノー・アップル、ノー・グーグル
覇権主義に対抗する
たどり着いた相手先
フォーマット統一とボイジャーの課題
「映画と本が一緒になる」の到達点
本は自由なメディア

書籍とは、私たちに欠かせぬものであり、それは、紙か紙でないかということではなく、あくまで「読む」という行為なのだということを、あらためて思いいたる。

しかし、何より萩野さんが、いちずに夢をきちんと見ているというところに、無性に魅かれるのだ。絶頂期のレーザー・ディスク社をやめ、ボイジャーを 起こし、そして苦節の時間がありながらも、しかし一度も大切な何かを見失うことなくここまでやってきたその彼の精神の崇高さ・・それでいていつ出会っても 情熱的で、いつもの彼の文体で飾らずに語りかけてくれる萩野さんを思い浮かべ、ただの美談ではない、謙虚で等身大の人間の尊さに深い感動を覚える。本来の 起業家精神のまさに神髄がここにある。

まだまだボイジャーの新しい地平の苦労はつづくかもしれないが、ひとまず、この半世紀が書けるところまできたボイジャーの歴史に「よかったね」と声をかけたくなった。

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2010年11月21日日曜日

ロッド・スチュワート~The great American songbook volume V ROD STEWART fly me to the moon

今年65歳のロッド・スチュワートの名曲カバー集の第5作。以前の4作に比べても文句なしの出来です。


The great American songbook volume V

ROD STEWART

こちらで一部試聴できます

1) That Old Black Magic
2) Beyond the Sea
3) I’ve Got You Under My Skin
4) What a Difference a Day Makes
5) I Get a Kick Out of You
6) I’ve Got the World on a String
7) Love Me or Leave Me
8) My Foolish Heart
9) September in the Rain
10) Fly Me to the Moon
11) Sunny Side of the Street
12) Moon River

人によっては、ロックのロッドを期待するむきもあるでしょうが、この落ち着いた趣のある歌いっぷりは、やはりある意味ロッド・スチュワートならではのも の。グラミーを受賞した第三作に比べ、ちょっと一本調子なところもあるけれど、気楽に楽しめるという意味では、申し分のない出来です。

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2010年11月20日土曜日

なんて軽やかなマヌーシュ・ギター・・ストーケロ・ローゼンバーク・トリオ 王子ホール

クラシック以外も、ちょっと風変わりな出し物があるのが王子ホールの素敵なところだが、今夜のマヌーシュ・ギターのローゼンバーク・トリオには、一曲ごとに、いやリードギターの1ブロックごとに拍手喝采の明るさにつつまれたホールだった。
ストーケロ・ローゼンバーグ・トリオ

1. MINOR BLUES
2. SUNNY
3. WEBSTER
4. NUAGES―HUNGARIA
5. READY’N ABLE
6. DOUBLE JEU
7. BODY AND SOUL
8. BLUE BOSSA
9. RELAXIN’ AT CAMARILLO
10. FOR SAPHORA
11. I WISH
12. STRANGE EYES
13. ARTILLERIE LOUDRE
14. SPAIN

【アンコール 】
LES YEUX NOIRS
MINOR SWING

オープニングからして粋。ベースのサニ・ヴァン・ミュレンがまずひとりはいってきて、リズムを奏でる。そこにしばらくして、リズム・ギターのモゼ ス・ローゼンバーグがやってきて軽やかな二重奏。そこにいよいよリード・ギターのストーケロ・ローゼンバーグが登場するやいないや、何の構えもなく弾きだ し、それが見事なトリオの演奏になる。

ストーケロ・ローゼンバーグ・・1968年生まれだが12歳にしてすでにデビューしているのでもはや芸歴30年の大ベテラン。ビレリ・ラグレーンの やや重量感のある音色もマヌーシュの魅力のひとつなのだが、それとも違って、とにもかくにも彼の身のこなし軽やかな音色には、誰もが圧倒されるだろう。本 当にうまい人は、こういう人をいうんだろうというくらいに、自由自在なのだ。

ジャンゴの曲ももちろん素晴らしかったが、「サニー」や「スペイン」などのジャズ曲も本当に見事。

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2010年11月19日金曜日

Apple MacBook Air 9 インチの記事はまだみたいだけど、創業時からのスティーブ・ジョブス(Steve Jobs)のすべてがまとめられたサイトができました

スティーブ・ジョブスの歴史ほかすべてがまとめられたサイトができました(→こちら)。考えてみれば、こういう網羅的な情報収集が得意なアメリカのこと、すでにあってもよかったサイトかもしれませんね。

ビデオのところには、胸にきゅーんとくるNextSTEPの紹介のビデオもありますし、写真のところは創業時の写真がたくさん・・・ああなつかしい。ジョブスのカリカチュアもあれば、彼の事業地の変遷図まで・・それはそれはもりだくさんです。

世の中のアップルファンのみなさま・・ぜひお楽しみください。

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2010年11月18日木曜日

カーリン・クロッグ フリースタイル( Karrin Krog Freestyle )

カーリン・クロッグのアルバムです。渋くてなかなかいいのです。


Freestyle

Karrin Krog
1.Just Holding On
2.Bansull
3.Sorrowful day
4.Imagination’s child
5.Freestyle
6.Karima Two
7.Open Sandwich
8.Raga variations
9.The red Dragon
10.Some time ago
11.Fran Landesman medley
12.Hymn to Joy

カーリン・クロッグは、1937年5月15日、ノルウェーのオスロ生まれ。60年代初頭から地元オスロやストックホルムで活動を始め、ヨン・クリス テン、ヤン・ガンバルク、アリルド・アンデルセンたちと共演しています。64年のフランス、アンティーヴ・ジャズ祭で世界デヴュー。同年に初アルバムも録 音。67年にはドン・エリスの進めで渡米し、ドン・エリスやクレア・フィッシャーと共演、録音。70年にはアルバート・マンゲルスドルフ、ジョン・サーマ ンらと万博で初来日。71年にはデクスター・ゴードン、77年にはアーチー・シェップとレコーディングも行っています。

柔らかくそれでいて芯がある声・・静かながらそこで繰り広げられる音楽世界は、見事に説得力があるのです。今回のこのアルバムは1986年のもの。 4曲目「Imagination’s child」、10曲目「Some time ago」など共演のJohn Surman のキーボードの柔らかな音色とあわせ、おしゃれなポップスとしておすすめです。

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2010年11月17日水曜日

JASMINE ジャスミン キース・ジャレット チャーリー・ヘイデン Keith Jarrett / Charie Haden

2007年、キース・ジャレットの自宅にあるケイヴライト・スタジオにて、ピアノ、ベースの2つの楽器だけで録音された見事なラブバラードの1枚。録音エンジニアにはマーティン・ピアソン、マスターはMSMスタジオで行われたとか。

JASMINE
Keith Jarrett / Charie Haden

1. For All We Know
2. Where Can I Go Without You
3. No Moon At All
4. One Day I’ll Fly Away
5. Intro – I’m Gonna Laugh You Right Out Of My Life
6. Body And Soul
7. Goodbye
8. Don’t Ever Leave Me


この作品の帯はこう書かれています。『Call your wife or husband or lover in late at night and sit down listen.』。
確かに、このコピーのようなアルバムです。かつての名盤『The Melody At Night, With You』の空気感に似た作品です。
アメリカン・クァルテット解散以来30年以上の時を経てのキース・ジャレットとチャーリー・ヘイデンの出会いが、まるで時間を感じさせない出来上がりになっています。
コピーにふさわしく、夜更けに愛する人と一緒に聴きたい素晴らしい1枚です。

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2010年11月16日火曜日

The CTI Jazz All-Star Band Montreux Jazz Festival 2009  

1971年のカリフォルニア・コンサートから約40年を経て、CTIオールスターズが復活した2009年スイス・モントリーのライヴ。あのクリード・テイ ラーがプロデュースを担当し、CTIの歴史を彩った名曲の数々を中心にしながらも、新世代シンガー、ジェイミー・カラムを起用。そしてミキシング、マスタ リングはルディ・ヴァン・ゲルダー。

Montreux Jazz Festival 2009
The CTI Jazz All-Star Band

こちらで一部試聴できます


アイアート(per)
トッド・バショア(as, bs, arr)
ランディ・ブレッカー(tp)
マーク・イーガン(el-b)
ビル・エヴァンス(ss, ts)
ニルス・ラン・ドーキー(p, key)
ヒューバート・ロウズ(fl, picc)
ラッセル・マロ-ン(g)
フローラ・プリム(vo) on M3
ジェフ・ティン・ワッツ(ds)

1. ミスター・クリーン
2. シュガー
3. ミストゥラーダ
4. アメイジング・グレイス
5. ビンベ・ブルー
6. アフリカとブラジル
7. ユーズ・ミー
8. ブルース・マーチ


おすすめは、なんといってもヒューバート・ローズ。アメイジング・グレイスではソロを堪能できるのですが、その息づかいは昔のあのローズそのもの。

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2010年11月15日月曜日

坂本龍一 大貫妙子 UTAU

2枚組のこのアルバム、1枚は、大貫さんと坂本さんのデュエット。2枚目は坂本さんのインストルメンタル。

あわせて、独特の世界観が見事に提示されています。

UTAU

RYUICHI SAKAMOTO / TAEKO ONUKI
坂本龍一 大貫妙子


こちら
で一部試聴できます


ディスク:1

1. 美貌の青空
2. Tango
3. 3びきのくま
4. 赤とんぼ
5. 夏色の服
6. Antinomy
7. Flower
8. 鉄道員
9. a life
10. 四季
11. 風の道

ディスク:2

1. 美貌の青空
2. Tango
3. koko
4. 赤とんぼ
5. 夏色の服
6. Lost theme – Femme Fatale
7. A flower is not a flower
8. Aqua
9. Geimori

大貫さんがどこかで語っていたが、以前より教授はピアノが上手になったとか。そのこともよくわかる出来上がり。先日のUstreamの中継を聴いたあとだからということもあるのですが、坂本教授の現在進行形の音楽的世界構造にとりこまれる感じがします。
いまのこの日本の雑踏のような社会的状況で聴くとその対極的な世界になぜかこころなごむような気がしてきます。おすすめです。

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2010年11月14日日曜日

何と88歳、トゥーツ・シールマンスのライブアルバム~TOOTS THIELEMANS EUROPEAN QUARTET LIVE

1922年生まれ、何と88歳、トゥーツ・シールマンスのライブアルバムです。録音は、2006,2007,2008年と、長年の、数々のステージでの演奏からのベスト・テイクとか。
最近、来日しないので心配していましたが、これを聴くなり、驚くほどにバリバリの現役だったことがわかり超安心します。

TOOTS THIELEMANS EUROPEAN QUARTET LIVE

Toots Thielemans: harmonica
Karel Boehlee: piano and synthesizer
Hein Van de Geyn: double bass
Hans van Oosterhout: drums


1 I Loves You Porgy
2 Summertime
3 Comecar De Novo
4 The Days Of Wine And Roses
5 Circle Of Smile (theme from: Baantjer)
6 Round Midnight
7 Les Feuilles Mortes
8 Theme from Midnight Cowboy
9 On Green Dolphin Street
10 Ne Me Quitte Pas
11 Bluesette
12 For My Lady

1曲目の「I LOVE YOU PORGY」から驚くほど聴かせてくれますし、イヴァン・リンスの「COME CA DE NOVO」に至っては、あのブラジルプロジェクトよりもさらに深みを感じさせるほどに、素晴らしい出来上がりです。
グルーブ感あふれるリズム、独特のメロディライン・・ハーモニカだからかもしれませんが、シールマンスのシールマンスならではの節回しが、年齢を感じさせるどころか、むしろいい感じに枯れた若々しささえ感じさせるから驚きです。
バックをつとめるカレル・ボエリー、ヘイン・ヴァン・ダヘイン、ハンス・ヴァン・オーシュタハウトゥという、カレル・ボエリー・トリオも素晴らしい出来です。それもある意味、当然で、カレル・ボエリーと言えば、あのヨーロピアン・ジャズ・トリオの初代ピアニスト。

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81歳のアンドレ・プレヴィンの弾き振り&N響 ガーシュイン~ピアノ・コンチェルト・イン・エフ は感動的な繊細さをもっていた

今日はN今日の定期公演Aプロ。単独券を購入して行ったお目当ては、プレヴィンの弾き振りのガーシュイン。

第1685回 N響定期公演 Aプログラム
指揮・ピアノ アンドレ・プレヴィン
コンサートマスター 堀 正文
武満徹:グリーン
ガーシュイン:ピアノ協奏曲ヘ調

プロコフィエフ:交響曲5番 変ロ長調

足をやや不自由にしていて、舞台袖からゆったりとでてきたマエストロ・プレヴィンは、指揮台にゆっくりと座ると、おもむろに、指揮棒を振り下ろす。
1曲目は、武満徹の短い作品。N響のくりだす弦の音色は見事に澄んでいて美しい。予想を超えて感動が胸にこみあげてきた。

2曲目はいよいよ、お目当てのガーシュインのピアノ・コンチェルト。プレヴィンの体の不自由さを思うと、とても弾き振りは困難に思えたのだが、はじ まると大違い。なんと繊細なピアノの音色が軽やかにホール中に響く。コンパクトに芯のある音色を奏でるN響とプレヴィンの繊細で華麗なピアノは見事にマッ チして、これは楽しいピアノコンチェルト・イン・エフ。
予想をはるかに裏切る展開にわくわくの連続。第三楽章の終わり際には感動が全身におそってきた。

プロコフィエフは、全体に大きな音量を必要とする楽曲なのだが、NHKホールのつくりとして、ある量以上の音量になると定在波のようなちょっとノイズのようなこもった音がすることがあり、今回のこの曲もそのケース。ややもったいない感じが残る印象だった。
それにしても、プレヴィンは見事に健在。来春にはN響と北米ツアー公演も予定されているとか。

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2010年11月10日水曜日

エレクトロボップス・オブ・ビートルズ’80  ELECTRO-POPS OF BEATLES ’80 清水靖晃・笹路正徳・清水信之

80年にリリースされたビートルズのインスト・カヴァー集です。


エレクトロボップス・オブ・ビートルズ’80

ELECTRO-POPS OF BEATLES ‘80

清水靖晃/笹路正徳/清水信之

1. バック・イン・ザ・U.S.S.R.
2. ゲット・バック
3. イエスタデイ
4. プリーズ・ミスター・ポストマン
5. ミッシェル
6. レット・イット・ビー
7. ヒア・ゼア・アンド・エヴリホェア
8. サムシング
9. ア・デイ・イン・ザ・ライフ
10. ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード

清水靖晃さん、笹路正徳さん、清水信之さんと話題のアレンジャー3人がシンセサイザーやヴォコーダーを操っての、いわゆるエレクトロポップなアレンジにしあげたもの。

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2010年11月9日火曜日

1966 坂本龍一 RYUICHI SAKAMOTO

CD棚を整理していたら、坂本龍一さんのアルバムがいろいろでてきました。その中で、今日ご紹介するのは「1996」。1996年発売の1枚ですね。

坂本さん自身のセルフ・コピー集で、ピアノ・チェロ・ヴァイオリンのトリオ編成で聴かせてくれます。ピアノは、坂本さん自身。そして楽曲の多くで、 チェロがジャック・モレレンバウムさん(Jaques Morelenbaum)、ヴァイオリンはエバートン・ネルソンさん(Everton Nelson)が担当しています。

1966
坂本龍一 RYUICHI SAKAMOTO
こちらで一部試聴できます

1.ゴリラがバナナをくれる日
2.Rain
3.美貌の青空
4.The Last Emperor
5.1919
6.Merry Christimas Mr.Lawrence
7.M.A.Y.in the backyard
8.The Shelterling Sky
9.A Tribute to N.J.P
10.High Heels-Main Theme
11.青猫のトルソ
12.嵐ケ丘
13.Parolibre
14.Acceptance(End Credit)~リトル・ブッダ
15.Before Long
16.Bring them home

聴いていただけばわかりますが、クラシックのトリオということで、改めて彼の曲のもつオリジナリティがくっきりと鮮明になっている印象を受けます。はじめ て坂本さんを聴く方にも、いい一枚なのではないでしょうか。帯によれば、坂本さん曰く「まあ、一生に一枚作るかっていう種類のアルバムですね。」だそうで すから。ちなみに、このアルバムは第11回日本ゴールドディスク大賞・インストゥルメンタル部門賞を受賞しています。

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2010年11月8日月曜日

MacBook Air 11 インチ 魔法のケースが届きました

iPad や MacBook 用のケースとして、評判のbuzzhouse デザインのフェルトケース、MacBook Air 11 インチ用のもの・・出来たてほやほやの新製品が届きました。
厚すぎず、それでいて表面保護にはなるので、とても快適です。

PC持ち歩くときに、どの程度、クッションのあるものを使おうか迷うところですが、今回のMacBook Air はなかなか頑丈でいて、また、その軽さが取り柄となると、そう重たい頑丈なものを使うわけにもいかず、ちょうどいいものはなかなかみあたらないのですが、 そこにみつけたのが、これ、buzzhouse デザインのフェルトケースでした。

手作りのものなのですが、ちょうど数日前最初のロットの在庫があるのをみつけたので即ゲット・・とてもいい風合いに気に入っています。おすすめです。

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http://bit.ly/9j1jTX

2010年11月7日日曜日

RYUICHI SAKAMOTO north american tour 2010 nov.5th Los Angels 坂本龍一 ~ BEHIND THE MASK

今日もまた、午後、坂本教授のロサンジェルスからのライブ中継。最終回だけあって1万人を超える視聴者がustreamから参加した、妙に盛り上がったものでした。

セットリストは以下のもの。

ryuichi sakamoto north american tour 2010 nov.5th
Los Angels

glacier
hibari
still life
nostalgia
in the red
美貌の青空
tango
a flower is not a flower
tamago 2004
1900
the last emperor
戦場のメリークリスマス

encore

behind the mask
happy end
tibetan dance
千のナイフ

parolibre

ヤマハのピアノらしい音色が教授のサウンドにあっているというか、MIDIピアのとの掛け合いを想定した計算された2台のピアノへの割り振りの巧みさがいかにも教授らしいところ。
ところで、そういえば、BEHIND THE MASKにはいろいろなバージョンがあったのと思い出し、みつけだしてきたのがこのアルバム。

BEHIND THE MASK
RYUICHI SAKAMOTO

1. ビハインド・ザ・マスク
2. リスキー
3. フィールド・ワーク
4. ステッピン・イントゥ・エイシア(TVトラック)
5. フィールド・ワーク(エディット)
6. 両眼微笑

1987年のNEO GEOツアー後、ツアーメンバーでスタジオライブレコーディングされたもの。「Behind The Mask」は、YMO時代の歌詞ではなく、マイケル・ジャクソンさんが作詞したもの。あの驚異的なアルバム「スリラー」に入る予定だったとかともいわれて ました。 立花ハジメさんも参加していて、今日のピアノソロ版とは違って、1980年後半のPOPな教授が感じられるもの。

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2010年11月6日土曜日

to the nines パリスマッチ paris match

今年デビュー10周年を迎えたparis matchが、通算9枚目となるオリジナルフルアルバム「to the nines」。

to the nines
パリスマッチ paris match


こちら
で一部試聴できます


1. dressed up to the nines
2. 17
3. Time Travel
4. Lady’s Jam
5. HAPPY-GO-ROUND ~AND WE LOVE YOU~
6. SALON TOKYO
7. Red Shoes
8. MUSIC
9. Floor
10. short story
11. Shala-la-la
12. Strawberry Waltz
13. 太陽の接吻 (Recorded at Billboard Live Tokyo 2010.04.17)
14. Saturday (Recorded at Billboard Live Tokyo 2010.04.17)

アルバムには、タイアップソングに起用された「SALON TOKYO」や、元メンバー古澤大も参加したセルフリメイク「HAPPY-GO-ROUND ~AND WE LOVE YOU~」なども含まれています。
パリスマッチは、日本だけでなくアジアで人気で、特に人気の高い韓国では、日本同時発売とか。

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2010年11月5日金曜日

電子書籍・出版の新しい枠組み ~ 村上龍 氏の発表から

村上龍氏が電子書籍発売について会社を興す発表がありました。
その実際のいきさつについて、ご本人のブログに実に詳細に書かれていて、今後の電子書籍発刊の流れに多くの影響を及ぼすだろうと思われるので、ここに紹介してみたいと思います。
彼の群像での連載「歌うクジラ」の出版について、講談社への了解をとったいきさつ、グリオという永年のつきあいのある会社にこの電子書籍化の依頼をしたことなどのいきさつのあとで、実際の制作と販売については次のように述べています。
3:『歌うクジラ』制作と販売

電子化の作業は刺激的でした。ほとんど毎日会ってアイデアを出し合い、数日後にデモ画面を見て、修正点を確認し合うというスリリングな日々が続きま した が、坂本龍一のオリジナル音楽が届いたとき、わたしたち制作スタッフの興奮はさらに高まりました。当初は、坂本龍一の「out of noise」というアルバムの楽曲を使う予定だったのですが、基本的にAppleのアプリにはJASRACに登録されている楽曲は使えないので、オリジナ ル楽曲を作ってもらったのです。電子書籍元年なんだから絶対にやるべきだと、坂本龍一からはメールで何度も勇気づけられました。そしてオリジナル楽曲も快 く引き受けてくれたわけですが、送られてきたその音楽はすばらしく、「小説のために作られた楽曲というのは歴史上初めてかも知れない」と思うと、深い感慨 がありました。

7月初旬、『歌うクジラ』iPad版が完成し、Apple本社の審査にも通って、ついに販売がはじまりました。制作費は、プログラミング会社委託実 費で 約150万、坂本龍一へのアドバンスが50万、計200万でした。ただし、わたしとグリオのスタッフの報酬は制作費として計上していません。定価は 1500円としましたが、値付けにはかなり悩みました。400字詰め原稿用紙1100枚という長編なので、紙だと上下巻で間違いなく3000円以上の定価 になるのですが、アプリとしての表示ではボリュームを示せないので、適正価格がわかりづらいのです。結局、紙のだいたい半額1500円なら堂々と売れるの ではないかということで価格が決まりました。

売り上げの配分は、制作実費150万(坂本龍一へのアドバンス50万円は売り上げ配分の前払い扱い)をリクープする前は、村上龍:グリオ:坂本龍 一=2:4:1、リクープ後は、4:2:1とすることにしました。『歌うクジラ』電子本はiPad、iPhone版を併せて、現在10000ダウンロード を優に超えています。わたしもグリオも確かな手応えを得ました。この成果をどう将来に活かしていくのか、わたしとグリオの次の課題が見えてきました。

ここまで、売上げ配分率などを明示化されると、これからの電子書籍の規模感、そのコスト感、思いなどがきちんと伝わってきて、かなりの起爆剤となるのではないかと思います。
そして、さらに今後の展開について幻冬舎と話し合った経緯などが語られています。

4:幻冬舎との話し合い

幻冬舎は、親友の見城徹が興した会社で、わたしは特別な思いを持っています。『歌うクジラ』の電子化作業が進んでいる間も、幻冬舎と何度も話し合い をし ました。幻冬舎は電子化にどう対応するのか、これからのわたしとグリオの作業に関わることができるのか、おもな話題はそういったことでした。ただし、幻冬 舎と組んで電子化を進めるとなると、他の版元出版社の既刊本には対応できないと思いました。

わたしは、電子書籍の制作を進めるに当たって、出版社と組むのは合理的ではないと思うようになりました。理由は大きく2つあります。1つは、多くの 出版 社は自社で電子化する知識と技術を持っていないということです。「出版社による電子化」のほとんどは、電子化専門会社への「外注」です。わたしのアイデア を具体化するためには、まず担当編集者と話し、仲介されて、外注先のエンジニアに伝えられるわけですが、コストが大きくなり、時間がかかります。『歌うク ジラ』制作チームの機動力・スピードに比べると、はるかに非効率です。2つ目の理由は、ある出版社と組んで電子化を行うと、他社の既刊本は扱えないという ことでした。いちいちそれぞれの既刊本の版元出版社と協力体制を作らなければならず、時間とコストが増えるばかりです。今後、継続して電子書籍を制作して いく上で、グリオと組んで会社を新しく作るしかないと判断しました。今年の9月中旬のことです。

さらに、今後の配分率についてもオープンを前提とすることを語った上で、次のように一律にいかない理由を述べられています。そして、ここまでのいろいろな思いとともに、版元への料率をその作業量によって定めていかざるをえない現実について語っています。
版元からすれば、その法律的な権利とは別にいろいろな思いがあるでしょうが、こうクリアーにすべてを明らかにしていくと、村上氏の提案する作業量による配分率というのは、現状もっとも根拠のある解決策であることが浮かび上がってくるような気がします。

8:*既刊本の版元への配分

たとえばわたしのデビュー作である『限りなく透明に近いブルー』(76 講談社)という作品の場合、当時は出版契約書が存在していなかったということもあり、版元である講談社の許諾および売り上げ配分なしで、わたし自身が G2010で電子化することが、法的には可能なのだそうです。ただ、講談社に無断で『限りなく透明に近いブルー』を電子化して販売することには抵抗があり ます。

思い返せば、35年前、ちょうど今ごろの季節でした。西武新宿線の田無という街の書店で、わたしは「群像新人賞公募」を知り、それまで書きためてい た創 作ノートから、210枚の作品を1週間で書き上げました。「群像」という雑誌、講談社という出版社が、『限りなく透明に近いブルー』という小説が誕生する 契機を与えてくれたことになります。それは、よく言われるような、出版社が新人作家を育てるとか、編集者が執筆に協力するというようなこととは微妙に違い ます。作品が生み出される「契機」「場」を提供してもらったということです。わたしは、これまでのすべての作品を自分で書き上げました。出版社および編集 者は、多くの作品を書くきっかけを提供したということです。ただし、その心情的「恩義」を、そのまま電子化における版元への配分に反映させることは、不可 能です。

そこでわたしは、版元に対して、電子化に際し、さまざまな「共同作業」を提案することにしました。たとえば、原稿データの提供、生原稿の確保とス キャ ン、写真家への連絡と交渉、さらに共著者がいる場合にはその連絡と交渉、そしてリッチ化の1部の作業、およびコストの負担などです。その上で、G2010 が版元への配分率を決め、配分率は個別の作品ごとに設定します。たとえば『あの金で何が買えたか』(99 小学館)や『新13歳のハローワー ク』(2010 幻冬舎)という絵本は、版元との新しい共同作業が発生しますので20から30%という高率の配分を予定しています。ただし、電子化への共同作業が発生しな い場合は、配分がゼロの例もあります。

つまり、面倒ではあるのですが、G2010において既刊本を電子化して販売する場合には、それぞれの作品ごとに、売り上げ配分を決めることにしまし た。 作品によって要件が異なるので、その作業は必須だと考えています。そういった個別の配分例を透明化・公表し、一定量積み重ねることで、全体としてのモデル となっていくのではないかと思います。

最近、「カンブリア宮殿」などの番組出演で、村上氏はとてもいい感じの、ナビゲーター兼コメンテーターをされていて、そこでの多くの経済人との出会い、政治家との出会いがあることも影響しているのかもしれませんが、今回のこのウエブでの発表は(全文はこちらでどうぞ)、ついついウエットになりがちな出版社との関係を、思いとして大切にしつつ、「オープン」という方法によって、メンタルではなくビジネスライクに解決策をみつけていくという作業をきわめて気持ちよく実現された気がします。
最初の電子出版をした先導者として自らの役割だとも思われたのでしょうが、作家としてだけでなく、その枠組み流通自体も自らにおいて責任をもっていく・・というこの態度表明は、爽快とも思えるものでした。

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2010年11月4日木曜日

坂本龍一 ustream LVIE at サンフランシスコ を聴いて~ RUICHI SAKAMOTO/05

今日もまた、坂本教授のライブ中継があった。サンフランシスコから。

3カメ・ステレオ音声。
2台のピアノ(1台はMIDI・無人)でのソロコンサート。坂本龍一さんの音楽はもちろんCDでも十分に聴くことができるが、今回のライブがいいのは、や はり聴衆との間合い。1曲ごとにその最後の弱音が終了して響きが消え去るかどうかのあたりからわき起こる聴衆の拍手。聞き入っているよき聴衆が一体となっ たときだけにあるこの集中度と間合い。その歓びがustream を通じてそのまま伝わってくる。

古川さんと平野さんの努力のたまものだが、そのあたりの経緯もこちらに、面白くまとめられている。デジタルステージの平野さんの平野さんらしさがあふれている。

で、今日のライブでもなかなかよかったのが、その中での出色だった1曲が「千のナイフ」。MIDIピアノと教授とのかけあいがとても素敵だった。そ して「Tibetan Dance」。ピアノ曲としての楽しさがあふれているアレンジだった。「シェルタリング・スカイ」・・あのベルトルッチの映画が彷彿としてくる

・・そういえばこれら3曲が入っているアルバムがあったなと思い出したのが、なつかしい、「坂本龍一/05」。
帯によれば、「坂本龍一入門者にとって優しい、坂本龍一マニアにとっては深い、究極の1枚です(ロッキング・オン 渋谷陽一)」とあるけれど、まさにそういう1枚。

坂本龍一/05
RYUICHI SAKAMOTO


1. Tibetan Dance
2. A Flower Is Not A Flower
3. Amore
4. Energy Flow
5. Aqua
6. The Last Emperor
7. Happyend
8. Thousand Knives
9. Fountain
10. The Sheltering Sky
11. Lost Theme
12. Shining Boy & Little Randy
13. Reversing
14. Rainforest


日本時間の土曜日13時からは、彼の北米ツアーの最終公演もUSTREAMで再度中継があるとか。

つづきはこちら↓

2010年11月3日水曜日

『シェエラザード』 ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ~パリ管弦楽団

なんて、豊穣なシェヘラザードなのだろう。
ロストロボーヴィッチの指揮になるこのパリ管の「シェヘラザード」のようなものこそ、名演と呼ぶのだろうと思う。


リムスキー=コルサコフ:交響組曲『シェエラザード』 作品35

パリ管弦楽団
ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(指揮)

録音時期:1974年
録音場所:パリ、サル・ワグラム
録音方式:ステレオ(セッション)
こちらで一部試聴できます


シェヘラザードは千一夜物語をもとにつくられたものだが、バレエ組曲の「白鳥の湖」のように、とても映像的な、あるいみ具象的な音楽においては、演奏者によるその品性のようなものが、結果として問われることが多くある。
このロストロ盤の素晴らしいところは、そのような評論家のような人々の視線に対し、あえて大仰というか、メリハリ強く、土着的な匂いを存分に醸し出 しているところである。いわゆるタメが強烈に深くとられていて、大衆的聴衆の思うまさに欲しい抑揚がこれでもか、というほどに効いているところが、本当に 素晴らしくいいのだ。そして、パリ管の色彩。

2010年11月2日火曜日

National Ransom ELVIS COSTELLO エルヴィス・コステロ~ナショナル・ランソム

エルビス・コステロの新作。なかなか渋くていけてます。
さきほどまで、坂本教授のバンクーバーライブをustreamで気持ちよく堪能したのですが、あれだけの音質でライブを同時性でもって楽しめるとなると、 それこそ時空距離というリアルな障壁が、意味を変質していくのがわかる気がします。
ところで、このコステロの新作も、リンク先で無料で全曲聴くことができ ます。期間限定とはいえ、考えてみればふしぎなもの。ニューヨーカーの新作紹介の頁に紹介されているわけだけれども、今後は確かに新作紹介のときには、こ うして全曲試聴できるようになっていくのかもしれませんね。

National Ransom
ELVIS COSTELLO

期間限定ですが、こちらで全曲、全部試聴できます

1. National Ransom
2. Jimmie Standing In The Rain
3. Stations Of The Cross
4. A Slow Drag With Josephine
5. Five Small Words
6. Church Underground
7. You Hung The Moon
8. Bullets For The New-Born King
9. I Lost You
10. Dr. Watson, I Presume
11. One Bell Ringing
12. The Spell That You Cast
13. That’s Not The Part Of Him You’re Leaving
14. My Lovely Jezebel
15. All These Strangers
16. A Voice In The Dark

さて、問題のアルバム・・ロックなのか、カントリーなのか、はたまたジャズなのか・・結構不明なコステロだけれど、今回のアルバムもコステロらしい男臭さ に満ちていて、コステロファンには、待ってましたの1枚でしょう。

つづきはこちら↓
http://wp.me/pMonj-oN

2010年10月28日木曜日

禁断の MacBook Air 11インチ  がやってきた

自分にもうPCは不要といいきかせていたのだけれど、あの鋭角的なデザインのMacBook Airをみたときにぴんとひらめいて注文してしまいました。
そして本日はるばる中国大陸から到着。

MacBook Air 11インチ
システム構成

• 1.6GHz Intel Core 2 Duo
• 4GB 1066MHz DDR3 SDRAM
• 128GBのフラッシュストレージ
• USB Ethernet Adapter
• キーボード (JIS) + 製品マニュアル
• アクセサリキット

そして、新しいoffice for mac (なんとアウトルックがついているのです)と、 atok を無事インストール終了して、久々にかばんに持ち運ばれるPCが誕生したのでした。
とにもかくにも軽い。そして、サクサク動くので驚きです。いろいろな人がすでにその使い勝手についてかたりはじめていますが、起動はわずか15秒。一世代前のインテルの石にもかかわらず、SSDがこんなにも効果的なのか、と思わされます。
僕の購入したのは11インチですが(田園mac さんの記事をみていると、はや13インチにも目移りししてしまいますが・・)とりあえず日常的な利用はこれで十分といった感じ。
いままでもThinkPadのX61というB5型を重宝していたのですが、それよりもさらに軽微な感じで(実際に明らかに軽いのですが)、PCも新しい時代に突入したのだとあらためて感じさせられたのでした。

つづきはこちら↓

2010年10月26日火曜日

マルコス・ヴァーリの最新作 ~ ESTATICA Marcos Valle

オリジナル・スタジオ・アルバム『Contrasts』以来、7年ぶりとなるマルコス・ヴァーリの新作アルバム。傑作です。


ESTATICA

Marcos Valle


こちら
で一部試聴できます


1. Vamos Sambar
2. Prefixo
3. Papo De Maluco
4. Arranca Toco
5. Baiao Maracatu
6. Novo Acorde (Reprise)
7. Novo Acorde
8. 1995
9. Estatoca
10. Na Pista
11. 1985
12. Esphera
13. Eu Vou
14. 1975
15. Vamos Sambar (Instrumental)


Vocals, Piano, Rhodes, Synthesizers & Acoustic Guitar: Marcos Valle
Bass: Mazinho Ventura
Drums: Renato Massa
Percussion: Robertinho Silva / Julio Diniz
Female Vocals: Patricia Alvi
Electric Guitar on Esphera: Marcelo Camelo

Tracks arranged by Marcos Valle
Horns and Strings arranged by Jesse Sedoc

全曲の切れ味のよさ。マルセロ・カメロとの「Vamos Sambar 」のシャープなつくりや、ジョイスとの「Papo De Maluco 」の明快な楽曲、スぺーシー・レゲエ前奏曲的な「Novo Acorde」など、全曲すべてがぜいたくなつくり。

インコグ二ートのブルーイの息子である、ダニエル・マウニックがプロデュースで参加していることもいい意味で影響をおよぼしているのでしょう。

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http://wp.me/pMonj-oo

2010年10月25日月曜日

乱反射ガール 土岐麻子

土岐麻子さんのこの夏発売されたアルバム。楽曲には、伊澤一葉(東京事変)、奥田健介(ノーナリーヴス)、川口大輔、Goodings RINA 、さかいゆう、桜井秀俊(真心ブラザーズ)、森山直太朗、渡辺俊美(TOKYO No.1 SOUL SET)、和田唱(TRICERATOPS)といった蒼々たるメンバーが集い、なかなか強力なアルバムになっています。

乱反射ガール
土岐麻子

こちらで一部試聴できます

<CD>
01. Intro ~prism boy~
02. 乱反射ガール
03. 熱砂の女
04. 薄紅のCITY
05. 鎌倉
06. feelin’ you
07. ALL YOU NEED IS LOVE
08. QUIZ
09. Sentimental
10. HUMAN NATURE / sings with 和田 唱 from TRICERATOPS
11. Light My Fire
12. Perfect You
13. City Lights Serenade

<DVD>
【VALENTINE LIVE TOUR @ Billboard Live TOKYO (2010.02.07)】
「smilin’」
「Flamingo」
「ファンタジア」
【LIVE『LOVE SONGS』@ 赤坂BLITZ (2009.07.07)】
「SUPERSTAR」
「How Beautiful」
【MUSIC VIDEO】
「乱反射ガール」
【RECORDING & MUSIC VIDEO OFF SHOT】

CMソングでも活躍の土岐さんですが、今回の楽曲、特に「乱反射ガール」は出色の出来映え。アレンジ、転調、その他すべてが完成度高くまとまっていて、何度きいても発見があり、楽しい・・本当におすすめの1曲となっています。

また、アルバムに付属のDVDもなかなかよく、ライヴも彼女の世界がとてもよくでていて伝わってきます。ライヴでのピアノを演奏する東京事変の伊澤 一葉さんがバンドをひっぱっていく感じも東京事変ともちょっと違った味付けがあって、それでいてその音楽性の強さはさすがな感じで、いい感じで土岐さんと の一体感が楽しめます。

そしてまた、最後についている「乱反射ガール」のPVはとてもグッドな出来上がり。


つづきはこちら↓
http://wp.me/pMonj-oj

2010年10月23日土曜日

まさに、王道。ポリーニのベートーヴェン サントリーホール

先週末にひきつづき、ふたたびポリーニをききにサントリーホールへ。ベートーヴェン、休憩なし3曲ぶっつづけ。決して疲れをみせることなく、その強く強靱なタッチは一糸乱れることなく、まさに王道そのもの。

ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ第30番 ホ長調 op.109
ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ第31番 変イ長調 op.110
ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ第32番 ハ短調 op.111

アンコール
ベートーヴェン :バガテル op.126-3
ベートーヴェン :バガテル op.126-4

著名な調律家のアンジェロ・ファブリーニ氏所有のピアノをもちこんだこともあって、一時期の彼よりはるかに、繊細でなおかつクリアーな音色が自在に奏でられている。ピアノもピアノ冥利につきるだろう演奏。
アンコールでは、再び自然体に戻ったのか、キースジャレットばりに、腰をうかして強いフレーズを弾くなど、さらに自由なポリーニが散見され、これはこれで楽しい。
最後は、客電があがっても、観客総立ちのスタンディングオベーション。うれしそうな彼の表情に、何かこちらも幸福になる。
客席にツィメルマンを見かけた。確か今年は彼はオフイヤー。ジャズピアノトリオでもやろうか、といっていたときくが、自由に世界中でいろいろなピアノを楽しんでいるのだろう。再び出会うツィメルマンもどんな彼になっているか、楽しみではある。
それにしても68歳のポリーニ。王者復活の気概をみた気がした一夜だった。

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貴公子パユのフルートがギターとともに上質に響く ~ パユ & リヴェ  王子ホールコンサート

今回のパユのジャパンツアー、紀尾井ホール・王子ホールと競合するホールでつづけてコンサートが開催されるという珍しいケース(そのためか、紀尾井ホールだけ内容を少し変更している)でした。
今夜はその王子ホール版。それにしても日本びいきのパユ、今春につづいての登場を満員のお客さんが迎えました。

パユ & リヴェ
Pahud & Rivet japan tour 2010

J.S.バッハ      フルートと通奏低音のためのソナタ ハ長調
バルトーク      ルーマニア民族舞曲
J.ノヴァーク     フルートとギターのための「春の舞曲」

宮城道雄       春の海
武満徹        エア
海へ
すべては薄明の中で
ラヴィ・シャンカール 魅惑の夜明け

パユさんは、あいかわらずの安定感あふれる演奏。巧みに何の破綻もありませんし、それでいてアグレッシブなところも垣間見られて楽しかったりします。
今回は好青年プレイヤー、ギタリストのリヴェさんとの共演。こうしてきくと、ギターとフルートとは意外にも相当相性が良いのですね。そしてその奏でる上質 な感じの音色が、いかにも自然にこの王子ホールの空気ととけこんでいて、このホールにこそ楽しめる企画だったのかもしれません。

宮城道雄の「春の海」は、元々は尺八と琴の楽曲です。これが、ギターとフルートとなると意外に興趣深く楽しめます。

つづきはこちら↓

イヴァン・リンス の新作 ~ Intimo IVAN LINS  

ブラジルを代表するイヴァン・リンスさんの新作は、なんとオランダ録音盤。彼の親しみやすく美しい旋律は、多くのファンを獲得してきたけれど、ミュージ シャンの中でも彼のファンは多いとか。そんなイヴァンの信望者の一人であるジャズ・ベーシスト、ルード・ヤコブスのプロデュースで完成したこの新アルバム は、彼の音楽から多大な影響を受けた、世界のポピュラー・シーンを代表するさまざまなゲスト・アーティストとの共演が実現した貴重なアルバムに仕上がって います。


Intimo

IVAN LINS


1. Tanto Amor
2. Arrependimento
3. Sou Eu
4. No Tommorrow / Acaso(feat.TRIJNTJE OOSTERHUIS)
5. Nosso Acalanto / That’s Love
6. Dandara
7. Llegastte
8. Rio Sun / e a Gente
9. Diadema(feat.JORGE DREXLER)
10. Le Dernier Mot / Bilhete
11. Tchau Tristeza
12. Meu espelho / Cristal Clear
13. A cor do Por do sol
14. Maos de Fad

ウルグアイが誇るメロウマスター、ホルヘ・ドレクスレル、スパニッシュ・ポップの第一人者アレハンドロ・サンズ、ヨーロッパ・ジャズのトランペット貴公子 ティル・ブレナー、バカラック/マイケル・ジャクソンのトリビュートで知られるシンガー、トレインチャ、そしてあのローラ・フィジー、さらにはテイク 6・・・。イヴァンとのコンビの長いヴィトール・マルティンスとの書き下ろし新曲をはじめ、シコ・ブアルキ、セルソ・ヴィアフォラ、そしてジョアン・ボス コの息子フランシスコと共作したトラックと、ヴァリエーションにも富んでいます。

なかでも、TAKE6との共作の「Nosso Acalanto / That’s love」は、なつかしいTAKE6らしさも十分にフィーチャーされ、宝物のような素敵な小品に。

つづきはこちら↓
http://bit.ly/9kDyQp

2010年10月21日木曜日

まっかなおひるね 伊藤君子

伊藤君子さんの久々の新譜。奈良美智さんの絵をあつらえた素敵なジャケット。そして、芥川賞作家の多和田葉子さんや、詩人・白石かずこさんが書き下ろした詩 (詞)にベルリン在住のピアニスト高瀬アキさんが曲を書き下ろした意欲的な作品。

まっかなおひるね
伊藤君子

こちらで一部試聴できます

1. 眼の窓
2. 九月には
3. 草かきわけて
4. まっかなおひるね
5. けむりの花
6. 猫の約束
7. 赤とんぼ
8. 四角い海
9. A Ferris Wheel(フェリス・ウィール~観覧車)

日本語の歌ながら、全般的にヨーロッパの香り高い出来映え。1曲目の「眼の窓」からお洒落なつくり。一方、唯一の既知曲、日本の「赤とんぼ」もそのペーソスがこころにしみてきます。
伊藤さんの新しい世界・・その挑戦的な可能性の追求に感動をおぼえました。

つづきはこちら↓

2010年10月20日水曜日

ジャンクスパイス ジャンクフジヤマ

ジャンクフジヤマさんの待望の最新アルバムです。

ジャンクスパイス
ジャンクフジヤマ


1.Morning kiss
2.Summer breeze
3.Undercover angel
4.雨上がりの向こうに
5.曖昧な二人
6.Night walker
7.Morning kiss (live)
8.ノスタルジア
9.Morning kiss (back track)
10.Summer Breeze (back track)


「Morning Kiss」「Summer Breeze」も収録されていて、知野芳彦さんのアレンジが巧みということもありますが、ギターも、サックスも、まさにこの曲の曲調にぴったり・・まさに ジャンク節炸裂の感ありです。

この夏のブルースアレイでのライヴも収録され、まさにもりだくさん。特に大ヒットした「Morning Kiss」を、スタジオ収録とライヴと両方聞き分けられたりします。もちろん、どちらも楽しめますし、どちらでもそれぞれのジャンクさんらしさがありま す。同じ曲を普通、スタジオとライブを比較するとライブがちょっと物足りないことが多いのだけれど、まったくそういったこともなく、それぞれの唄いっぷり から彼の図抜けた歌唱のパワーというのがひしひしと感じられてきたりもします。

つづきはこちら↓
http://wp.me/pMonj-nP

笹子重治 onaka-ippai

笹子重治さんのアルバムです。驚いたことに、ギタリストでショーロクラブのリーダー・笹子重治さんにとって初のソロアルバムなのですね。


ONAKA IPPAI

笹子重治


こちら
で一部試聴できます


1 おなかいっぱい!(作詞:Ann Sally 作曲:笹子重治)歌:Ann Sally
2 一汁三菜(作詞:畠山美由紀 作曲:笹子重治)歌: 畠山美由紀
3 波のローラー(作詞:比屋定篤子 作曲:笹子重治)歌:比屋定篤子
4 一緒に帰ろう(作詞:比屋定篤子 作曲:笹子重治)歌:比屋定篤子 コーラス:妹尾武
5 Assim Falou Baden Powell ~パーデンパウエルかく語りき~(作曲:笹子重治)
6 シアワセの花(作詞:Yae 作曲:笹子重治)歌:Yae
7 Madrugadas Cariocas ~カリオカの夜明け~(作曲:笹子重治) Voice:EPO
8 ゆうばんまんじゃー ~夕飯おねだり星~(作詞:佐原一哉、古謝美佐子 作曲:笹子重治)歌:桑江知子
9 海に降る雨(作曲:笹子重治)
10 自転車(作詞:EPO 作曲:笹子重治)歌:EPO
11 Carta Ao Edu ~エドゥへの手紙~ (作曲:笹子重治)Voice:EPO、Saigenji

<参加vocalist>
比屋定篤子・Ann Sally・EPO・畠山美由紀・桑江知子・Yae
Saigenji(vocalize)・妹尾武(background vocal)

<演奏>
笹子重治(guitar)、秋岡欧(viola)、鬼武みゆき(piano)、林正樹(organ)、
コモブチ キイチロウ(bass)、渡辺亮(percussion)、岡部洋一(percussion)、江藤有希(violin)
黒川紗恵子(clarinet&Horn Arr)、スティーヴ・サックス(flute)、Saigenji(フルート)、
村田陽一(trombone&Horn Arr)、西村浩二(trumpet)


多くの歌手やインスト演奏のバッキングやプロデュースに携わってきた笹子重治さん。ショーロクラブやコーコーヤなどのインストユニット活動以外の笹子重治の今までの活動を1枚のCDとして表現したとか。
EPOや桑江知子、比屋定篤子、Ann Sallyといった贅沢な女性シンガー陣をむかえ、ギターを中心とした構成で、緊張を解き、ホッとさせる力と雰囲気が楽しめます。

特に比屋定さんやEPOさんなどとの曲など、ここでしか聴けない何かがあり素敵な体験をした気がしてきます。
欲をいえば、笹子さんのインストをもう少しききたかった・・という気にさせるところでしょうか。それにしても知られざる渋い一枚。

つづきはこちら↓

2010年10月18日月曜日

ポリーニ! ポリーニ! サントリーホールにて

1年ぶりのポリーニの来日コンサートシリーズがサントリーホールではじまりました。17日がその初日。その日の出しものはといえば・・


・ショパン: 24の前奏曲 op.28
・ドビュッシー: 6つの練習曲(『練習曲集』第2集)
・ブーレーズ: ピアノ・ソナタ第2番


弾きっぷりはといえば、あいかわらずのポリーニここにあり、といった感じ。もちろん満員の観衆はきっとポリーニでなければならないピアノを存分に楽しんだ ことでしょう。

また、常に青少年の育成をこころにかけているポリーニ。この日は青少年のためのその意味合いも込められていた設定日でもあって、30歳以下の聴衆 は、全員4000円がキャッシュバックに長蛇の列ができていました。

さて、圧巻だったのは、実はアンコール。


アンコール
・沈める寺(ドビュッシー)
・西風のみたもの(ドビュッシー)
・練習曲第12番「革命」(ショパン)
・バラード第1番(ショパン)

ここのところのポリーニの演奏会では複数のアンコール曲が演奏されることが多い感じですが、それでも、特にこの日も多くて4曲。しかも、それまでの ノーマルなコンサート部分とはまったく違って、自由に奔放に弾きまくる別人のようなポリーニが楽しめるのです。僕はたまたまLAという下手側で、彼の背中 ごしに手元をのぞき込むような席でみていたのですが、アンコールになると彼の背中が踊っているのがわかるくらい、それはそれはピアノを楽しそうに弾いてい るのでした。

ポリーニといえば厳格な完全主義者のイメージが強いピアニストの筆頭でしょう。しかし、その姿からはずれ、このようにミスタッチもものともしないアンコー ルのような弾き方もあわせてみせるようになったのは、ここ数年のことです。そして、その度合いは年ごとに強くなってくるような気がします。

つづきはこちら↓
http://wp.me/sMonj-pollini

2010年10月15日金曜日

ソウ・ブラジレイラ/パトリシア・ロマニア SOU BRASILEIRA PATRICIA ROMANIA

ブラジルで“最優秀ブラジル人女性シンガー”に選ばれた実力派、パトリシア・ロマニアのワールド・デビュー作。トニーニョ・オルタ、オスカー・カストロ・ ネヴィスら 錚々たるミュージシャンをバックに、若くして貫禄すら感じさせるコケティッシュな歌声は、ある種エリス・レジーナを想起させます。

ソウ・ブラジレイラ/パトリシア・ロマニア
SOU BRASILEIRA PATRICIA ROMANIA

こちらで一部試聴できます


1:カイ・デントロ
2:ミ・レーヴァ
3:ソウ・ブラジレイラ
4: ナーダ・マイス
5:ケン・サービ・ソニャール
6:モダーン・ラヴァーズ
7:オンリー・ア・ドリーム・イン・リオ
8:オンダ
9:メウ・ベン
10:アクアレーラ・ド・ブラジル
11: コモ・ノッソス・パイス
12:フレイム

21歳のブラジル人MPBシンガー、パトリシア・ロマニア。今回のアルバムは、米国のプロダクションHCM内のグルーヴ・ジャズ・メディアの制作に よるもので、中心メンバーであるドラムスのテリー・リン・キャリントン、キーボードのロバート・アーヴィングⅢをはじめ、ギターのトニーニョ、オスカー・ カルロス・ネヴィスなど目がくらくらするようなアーティストが脇をかためています。最初と最後をエリス・レジーナが歌った「 カイ・デントロ」と「 コモ・ノッソス・パイス 」を選曲、エリスへの思いのあらわれなのでしょう。

サンバの「ソウ・ブラジレイラ」では伸びやかな声とソウルフルな歌い口がなかなか。ボサノバの「 モダン・ラヴァーズ」では、テリー・リンがドラムスで参加、ミッシェル・フォアマン(Kb)とトニーニョ(G)のソロがすばらしく、引き込まれます。

つづきはこちら↓
http://wp.me/pMonj-nA

2010年10月14日木曜日

DE JA VU  GEORGE DUKE  デジャヴ ジョージ・デューク

ジョージ・デュークの2年ぶりのアルバム。ジョージ・デュークは、1948年カリフォルニア州サン・ラファエルの生まれ。キーボード・プレイヤーと紹介す べきなのだろうけれど、歌もうたうし、その多才ぶりを考えると、マルチプレイヤーというべきなのかもしれない。

DEJA VU
GEORGE DUKE

1. A Melody
2. You Touch My Brain
3. What Goes Around Comes Around
4. Bring Me Joy
5. Ripple In Time
6. Oh Really?
7. 6 O’Clock Revisited
8. Come To Me Now
9. Stupid Is As Stupid Does
10. De ja Vu

ジョージ・デューク(key、vo)
マイク・マンソン(el-b)
ジェフ・リー・ジョンソン((el-g)
ロナルド・ブルナ-Jr,(ds)
シャノン・ピアソン(vo)
ラモント・ヴァン・フック(vo)
<ゲスト>
ヒューバード・ロウズ(fl)
ニコラス・ペイトン(tp)
ボヴ・シェパード(ts)
テリ・リン・ キャリントン(ds)
エヴェレット・ハープ(ts)

昔から器用な人だとは思っていたけれど、今回もまたきわめて上手にまとめられたアルバム。ジャケットには、各曲でどのようなキーボードが使われたか もかかれているところなど、音作りのイメージの多彩な感じがよくわかる。

1曲目「A Melody」のいい感じになつかしいフュージョンに、2曲目「You Touch My Brain」のファンクとどちらのファンもはずさないつくり。3曲目「What Goes Around Comes Around」のシンセ・サウンドもとてつも郷愁をおぼえるサウンド。9曲目には、ヒューバート・ロウズの名前もみえ、まさにフュージョンの王道感まっし ぐらなアルバム。

つづきはこちら↓
http://wp.me/pMonj-nv

2010年10月12日火曜日

枯葉/サラ・ヴォーン crazy and mixed up / SARAH VAUGHAN [1982]

サラ・ヴォーンの絶品のアルバムです。日本でのタイトルは「枯葉」ですが、米国でのアルバムタイトルは「crazy and mixed up」・・意味深です。その話題となった「枯葉」は全編スキャットのみ。タイトルにつられて買った人が「枯葉」が入っていないじゃないか、といって突っ返 してきた人がいたという噂も飛ぶくらい、新たな解釈、展開・・文句のつけようのないサラ・ヴォーンが活きた素晴らしいアレンジ作品です。

枯葉/サラ・ヴォーン
crazy and mixed up / SARAH VAUGHAN [1982]

1. I Didn’t Know What Time It Was
2. That’s All
3. Autumn Leaves
4. Love Dance
5. The Island
6. Seasons
7. In Love In Vain
8. You Are Too Beautiful

サラ・ヴォーン(vo)
ローランド・ハナ(pf)
ジョー・パス(g)
アンディ・シンプキンズ(b)
ハロルド・ジョーンズ(ds)

バンドのキャスティングも最高。枯葉のジョー・パス、「ザッツ・オール」のローランド・ハナのピアノプレイも最高にジャズライクで素敵です。
そしておすすめなのが、4曲目・5曲目の「ラブ・ダンス」「アイランド」とつづく、イヴァン・リンスの名曲。これもまたサラの手にかかると何と説得力のあ るナンバーとして響いてくるのでしょう。

このアルバムのとき、彼女は58歳。だからこそのすさまじいまでの説得力というべきなのか、その年齢で枯れないこの歌唱力だというべきなのか・・それにし てもどこからみても歴史に残るだろう素晴らしいアルバムです。

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http://wp.me/pMonj-np

2010年10月11日月曜日

今年はカバー作品の当たり年だけれど、カバーの原点といえばこれ~vocalist 徳永英明 HIDEAKI TOKUNAGA

今年はカバーの当たり年。いろいろここでもとりあげたけれど、その原点はどこにあるのだろう、と考えていたら、ここにいきあたった。ヴォーカリストの初回 作品である。これがいまに連綿と続くヒット作になろうとは、本人も思わなかったのだろうけれど、なかなか素敵なアルバムである。
選曲がいい。とにもかくにもなつかしい。つい口ずさんでしまうような、名曲ぞろい。そして、高音で声がやや枯れる徳永さんの歌声が妙にセクシーで、そのあたりが彼のカバーアルバムでなければならない何かを見事に演出している。

vocalist
徳永英明 HIDEAKI TOKUNAGA

1. 時代
2. ハナミズキ
3. 駅
4. 異邦人
5. シルエット・ロマンス
6. LOVE LOVE LOVE
7. 秋桜
8. 涙そうそう
9. オリビアを聴きながら
10. ダンスはうまく踊れない
11. 会いたい
12. 翼をください
13. 卒業写真

平原綾香さんなどの編曲も手がけている坂本昌之さんのアレンジがいい。もちろん平原さんや徳永さんと歌唱力の歌手だからこそ楽しめるのだけれど、それでもこのアルバムの上質感は、かなりの部分、この編曲力にもよっている気がする。
このヴォーカリストだけをみれば、アルバム全体でみるとやや同じ調子を感じることもあるのだけれども、アルバムの初期の狙いを考えるとそれもいいのかもし れない。弦一徹さんのストリングス・アレンジともあいまって、落ち着いたいい感じが、大人の音楽という気にさせ、聴く人の気持ちをゆったりとさせるのだ。

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MIKA & STEVE GADD MIKARIMBA  ~MIKA & スティーヴ・ガッド / ミカリンバ!

素敵な秋晴れが戻ってきた。この一週間、引っ越しのために費やされた日々だったけれど、無事、とりあえず荷物は新しい自宅に運び込まれ、他人に迷惑をかけ ることは避けられた。本は荷ほどきしてもらえたのだけれど、それ以外のすべてはめどがたたず、特にCDラックがわずか5ミリの高さの違いで入らず、いくつ か廃棄したのが辛い。新たに注文したCDラックがやってきて、組み立て、そこにCDを再現するかと思うと、ちょっと気の遠くなる感じがする。いろいろ考え ると、これから数ヶ月かかるだろうけれど、これは、荷物を整理し捨てよ、という神の命題だと思い、気長につきあうことにしよう。

さて、NY在住の、MIKAさんによるマリンバのジャズ・アルバムである。
スティーブ・ガッドのプロデュース作品。彼のドラムスの、スタッフの時代を彷彿とさせる感じの重さがいい。

MIKA & STEVE GADD
MIKARIMBA

MIKA & スティーヴ・ガッド / ミカリンバ!

1. A列車で行こう
2. キャラヴァン
3. ピクシーランド・ラグ
4. モーニング・ラヴ
5. 熱情
6. スラングポルカ
7. デボラのテーマ (モリコーネ「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」)
8. ザ・デューク
9. シシリー
10. ガッド・アバウト
11. グラスゴー・ブギ
12. ストレングス
13. ティコ・ティコ
14. ヴーレ・ブ

「A列車」「デボラのテーマ」「ティコ・ティコ」など、おなじみのテーマが再現されていく。マリンバという楽器のある種の暖かさがこのアルバムの素 敵なところ。マリンバのグルーブ感はやや重い感じもするが、それでも、スティーブ・ガッドのドラムスが引っ張っていく音楽感覚が楽しめる。

さて、秋晴れが一週間つづくとか。この高い空を楽しめる日々にしたいもの。

つづきはこちら↓
http://bit.ly/97s6Fn

2010年10月7日木曜日

ペトルチアーニ&ペデルセン ライブ Michel Petrucciani & Niels-Henning Orsted Pedersen (Live)

ミシェル・ペトルチアーニとニールス・ペデルセンとのライヴ。ペトルチアーニが、 Blue NoteからDreyfusに移った頃、1994年4月18日、コペンハーゲン・ジャズハウスでの録音です。


Michel Petrucciani & NHOP (Live)
Michel Petrucciani / Niels-Henning Orsted Pedersen

CD1
1. All The Things You Are
2. I Can’t Get Started
3. Oleo
4. All Blues
5. Beautiful Love
6. Someday My Prince Will Come
7. Billie’s Bounce
8. Autumn Leaves

CD2
1. St Thomas
2. These Foolish Things
3. Stella By Starlight
4. Blues In The Closet
5. Round Midnight
6. Future Child
7. My Funny Valentine

1曲目の [ All the things you are ] の出だしから、ペトルチアーニの鋭いストロークがこころをえぐります。それでいて、ペデルセンが主体の時のペトルチアーニの左手のコードはやわらかくしな やかで、ただただ聞き惚れてしまいます。

[ Autumn Leaves ] ・・前半は、鬼気迫る彼の独演会。後半は、ペデルセンとのデュエット。バックにまわったときのペトルチアーニは本当に粋で、後年発表のポルタルとのデュ エット盤も素晴らしかったけれど、それを連想させる息吹がすでにこのときにあってペトルチアーニの存在の強さを改めて感じさせられます。

それにしてもこの彼らのやりとりの息づかいはライブ盤だからこそ楽しめるもの。

つづきはこちら↓
http://wp.me/pMonj-na

2010年10月3日日曜日

ピーター・セラーズの「チャンス」 Peter Sellers : BEING THERE

たまには映画のはなし。 1979年・・もうだいぶ古くてなつかしいけれど、「チャンス」。原題名は「Being There」。 ピーター・セラーズが庭師の役をやる、ただそれだけの映画なのだけれど、思い出したら無性にみたくなった。
goo映画によれば

ワシントンの古い屋敷の主人が、ある朝突然死んだ。残されたのは中年の庭師チャンス(ピーター・セラーズ)と黒人のメイド の2人。チャンスは、ここ数十年 屋敷の外へは一歩も出たことがなく、読み書きもできず、ひたすら庭いじりとテレビを観る楽しみだけで生きてきた男だ。やがて管財人に屋敷を出て行くように 言われたチャンスは、街の喧騒の中に飛び出すことになる。見るもの、出合ううものが珍しく、それらに気をとられていたチャンスは、1台の高級車にぶつけら れ、中に乗っていた婦人に手当てを受けるため家に寄って欲しいと言われた。車の中でその美しい貴婦人イブ・ランド(シャーリー・マクレーン)に名を問わ れ、庭師チャンスと名のるが、彼女はそれをチャンシー・ガーディナーと聞き違えた。やがてその車が着いたのは経済界の大立物ベンジャミン・ランド(メルビ ン・ダグラス)の邸で、貴婦人は彼の妻だった。ランドは高齢で健康状態もすぐれなかったが、チャンスの子供のような無垢さに接していると気持ちが安らぐの を感じた。数日後、ランドを見舞いにやって来た大統領(ジャック・ウォーデン)は、そこでチャンスと会い、庭の手入れに例えた極めて楽観的な意見に耳を傾 けた。大統領はさっそくTV放送のスピーチでチャンスの言葉を引用し、それをきっかけにチョンシー・ガーディナーの名は一躍全米に知れ渡るようになる。そ れからチャンスのTV出演などの奇妙な生活がはじまるが、彼の本当の正体を知る者はいなかった・・・。

シャーリー・マクレーンが演じる素敵にかわいいレイディー役もいいのだけれども、とにもかくにもピーター・セラーズの演技がすばらしい。彼への当て 書きかともおもえるほど、はまり役。もちろんオスカーの候補になったのだけれども、その年は、クレイマー・クレイマーもあった年で、ダスティン・ホフマン に主演男優賞はもっていかれた。 キネマ旬報のベストテンでは、当時7位。1位はブリキの太鼓だったから、時代の感じがわかるというもの。

あらすじを読んでもわかるとおり、とっても地味な映画。何か特別なことが起きるわけでもない。ただ、その淡々とした時間の流れに、何か安堵な気持ち になる、ふしぎな魅力をもつ映画なのだ。この映画的時間の流れに、その制作された時代の何かもうっすらと感じられて、それだけでも30年たった今にとって はふしぎなタイムスリップ感にとらわれる。かつて場末の名画座で一度だけみた映画を、こうも無性にみたくなったのは、この「チャンス」に流れる、なつかし いようなふしぎな感覚に出会いたかったのだ・・と、この映画をみはじみえてあらためて気づいた。

そうそう、映画の中で、デオダートの「ツアラトゥストはかく語りき」がまるまる1曲流れているシーンがある。これも時代背景かなと思ったら、この本 の原案が「ツアラトゥストはかく語りき」を下敷きにしていたというかから、むべなるかなと思った次第。原題の「Being There」もハイデガーの「存在と時間」からとられている、というから、これらの隠し味のあたりは、ハル・アシュビー監督の見事な采配なのだなあ、と改 めて「映画」のもつ、時代の鏡のような部分を感じる。

つづきはこちら↓
http://bit.ly/aCo1XU

2010年10月2日土曜日

イリアーヌ シングス・ボッサ&サウダージ~ Eliane sings Bossa & Saudade Essencia Eliane

イリアーヌによるコンピレーションアルバム。

イリアーヌは、1960年、ブラジル、サンパウロ生まれ。6歳よりクラシックピアノを始めたといわれるだけあって、とても確かなテクニック。高速な フレーズの硬質なところなど、容姿に似合わず男勝りな強烈なところがあり、それが彼女の大きな魅力のひとつだろう。

Eliane sings Bossa & Saudade Essencia Eliane
Eliane Elias

こちらから一部試聴できます


1
ソー・ナイス
2 ザ・ソング・イズ・ユー
3 ア・ヴォータ
4 ドリーマー
5 シクレッチ・コン・バナナ
6 ジャヴァン・メドレー
7 フォトグラフ
8 ア・ヴィジーニャ・ド・ラド(隣人)
9 マンハッタン
10 ドラリシ
11 トロピカリア
12 ペレール
13 コール・ミー
14 セグレードス(秘密)
15 キスト・バイ・ネイチャー (ボッサクカノーヴァ・リミックス)

このアルバムでは、低音の彼女の歌声とともに、ボサノバの名曲の数々が心地よくちりばめられていて、イリアーヌを最初に聴く人にとってはとてもおすすめの 1枚。

つづきはこちら↓
http://wp.me/sMonj-eliane

2010年9月30日木曜日

キース・ジャレットふたたび(Keith Jarrett)、渋谷文化村オーチャード・ホール

キース・ジャレット・トリオの演奏を先週にひきつづき、ふたたびオーチャードホールに訪れた。
舞台美術は同じ。クロずくめの中に、ライティングで浮かびあがるピアノ、ベース、ドラムス。

Broadway blues
The blessing
I fall in love too easily
The way you look tonight
Someday my prince will come
Smoke gets in you eyes
Straight , no chaser

今日のお客さまは、先日よりちょっとヒートアップ。歓声や拍手もより大きく、濃いものだった。それにこたえるがごとく、キースは機嫌よく、時に笑顔 をまじえながら、それでいて黙々とプレイをつづける。

ジャズライブといいながら、舞台・客席ともに緊張感が途切れないのは、さすがキースならではだが、それにしても、各曲とも最後の1音まで丁寧に空間 を見事に充填するようにピアノを奏でるのがキースだとしたら、それを待って、どっと起こる観客の拍手という会話は、このライブならではの醍醐味なのだろ う。

今日の彼は、そしていつもよりさらにリリカルに、端正に音をつむいでいた気がする。「いつか王子様が」も「煙が目にしみる」も、キースのピアノを想像した ときの彼の音楽を裏切らない、まさにキースならではのプレイだった。

つづきはこちら↓
http://wp.me/pMonj-mR

2010年9月27日月曜日

改編の季節


4月・10月は、放送業にとって改編の季節。だが、それにしてもこの10月は、ラジオ番組の改編というか、終了が特に多い気がしている。

j-waveの朝の看板番組、10年以上もつづいたBOOMTOWNが終了する。クリス智子さんの結婚というハッピーなニュースも束の間、あの落ち 着いた上品なクリスさんの声が朝から消えると思うとさびしい気持ちがする人は僕だけではないだろう。

同じj-waveでいえば、夜の帯番組プラトンも終了する。切れ味がよく、とてもお笑いタレントとも思えないほど口跡もきれいな渡部建の生放送の終 了もびっくりした。時代の旬を感じさせるゲストとディープなかライブな感じがよかっただけに、ひどく残念な気がする。

そして、もっともさびしいのは、東京FMの「Tokyo copywriters’ street」の終了だ。昨夜最終回をしみじみときいたが、ラジオというメディアとクリエイティブな感覚が、ストレートに感じられる希有な番組だったと思 う。今後は、ウエブでの展開となるそうだが、ある種「現代の文学」のような香りがたちこめた貴重なプログラムだけに、放送というメディアによって偶然に聴 かれなくなるのは残念だが、多くのファンにとって、これからも楽しみに聞き続けられることだけでも幸福だと思う。

つづきはこちら↓
http://bit.ly/9etMWl

2010年9月23日木曜日

キース・ジャレット・トリオ・ライブ~オーチャードホール (Keith Jarrett Trio)

久々の冷たい雨。昨日の残暑とはおそるべき対比。肌寒さについつい上着を必要とするような一日だった。
欧州出張から戻ったと思ったら、沖縄ロケがつづき、ごぶさたがつづいてしまったこのブログ。来てくださっていた方、ごめんなさい。

さてさて、今日は、キース・ジャレット。トリオの公演が、渋谷文化村のオーチャードホールで行われた。オーチャードホールは来年7月から改装に入るのだが、そのせいもあってか、ここのところ精力的な公演が目立つ気がする。

Keith Jarrett Trio
[1st]

1.Solor
2.I have Got A Crush On
3.Star Falls On Alabama
4.Conception
5.Someday My Prince Will Come
6.G- Blues

[2nd]

1.Django
2.My Ship
3.Sandu

[Encore]
2.When I Fall In Love

ステージは、舞台から袖からすべてが黒ずくめ。黒い布でおおわれ、そこにピアノ、ベース、ドラムスがおかれるという配置。そもそもクラシックのコン サートホールだからベース以外ほとんどPAはいらないのだろう。しかし、全部の楽器にこまやかにマイクロフォンがセットされていたので、録音をしていたの かもしれない。

内容は、あいかわらずの端正なピアノ。今日の彼は気分が上々のようで、笑顔がありながら、いつものようにときどき腰を浮かせては、キースのうなり節 が入るという、絶好調の様子。ただ僕の席が3列目だったこともあり、ピアノ、ベース、ドラムスが3つの楽器に 分裂して聞こえるという感じもあり、そのせ いもあるかもしれないが、3人のからみあいは、やや稀薄な印象もあった。

それにしても、彼のこまやかなタッチは健在。

つづきはこちら↓
http://wp.me/pMonj-mE

2010年9月13日月曜日

No Regrets / Randy Crawford & Joe Sample (ランディ・クロフォード & ジョー・サンプル)[2008]

2週間あまりヨーロッパ出張があって、完全にご無沙汰でした。帰ってくればくるなりで、会議の連続・・時差ボケがきつい日々・・・。

さて、今回のアルバムは、ある意味まっくろなサウンド。クルセイダーズと一世を風靡したランディ・クロフォード。そして、ジョー・サンプル。現代風 のサウンドになっての復活劇です。夜更けに静かにこころに響くサウンドを聴くにはもってこいです。おすすめです。

no regrets
Randy Crawford & Joe Sample

1. Everyday I have the Blues
2. Today I sing the Blues
3. Respect Yourself
4. Angel
5. Me, Myself and I
6. Just One Smile
7. Don’t put all your dreams in one basket
8. This bitter Earth
9. Starting All Over Again
10. No Regrets
11. Lead me On
12. Angel of the Morning

ランディ・クロフォード(ヴォーカル)
ジョー・サンプル(ピアノ)
スティーヴ・ガッド(ドラムス)
クリスチャン・マクブライド(ベース)
アンソニー・ウィルソン(ギター)

つづきはこちら↓
http://wp.me/pMonj-mu

ジョビンのトリビュートアルバム~カエターノ・ヴェローゾ&ロベルト・カルロス E a musica de tom jobim Roberto Carlos e Caetano Veloso

2008年8月、カエターノ・ヴェローゾとロベルト・カルロスがリオで行った”ジョビン・トリビュー ト・ライヴ”の模様を収めたアルバムです。「イパネマの娘」「三月の水」などジョビンの名曲を、途中でポエトリー・リーディングなどを交えつつ、円熟味あ る2人の歌声でたっぷりと楽しめます。

かたやトロピカリアの中心人物カエターノ、そしてジョーヴェン・グアルダの帝王ホベルト・カルロス・・・動乱の時代に旋風を巻き起こした、名実共に 偉大な二人が、ボサ・ノヴァ50周年を記念しての奇跡のコラボレートでした。これを聴いていると、二人だからこそ成し得た、究極のボサ・ノヴァ・トリ ビュート・ライブな気がしてきます。おすすめです。
E a musica de tom jobim
Roberto Carlos e Caetano Veloso

1. Garota de Ipanema
2. Wave
3. ?guas de Mar?o
4. Por Toda a Minha Vida (Exalta??o do Amor)
5. Ela ? Carioca
6. In?til Paisagem
7. Medita??o
8. O Que Tinha Que Ser
9. Insensatez
10. Por Causa de Voc?
11. Ligia
12. Corcovado
13. Samba do Avi?o
14. Eu Sei Que Vou Te Amar / Soneto da Fidelidade
15. Tereza da Praia
16. Chega de Saudade

つづきはこちら↓
 http://wp.me/pMonj-my

2010年8月23日月曜日

アニメイヤ~ジブリ・ソングス メイヤ (AniMeja Ghibli Songs ~ Meja)

「クレイジー」や「オール・バウト・ザ・マネー」などのヒットで、カーディガンズ等と共に90年代の音楽シーンを賑わしたスウェディッシュ・ポップ・ムー ヴメントの中心的存在だったシンガー、メイヤの5年ぶりのアルバム。日本ではトータル200万枚以上のCDセールスを記録した90年代を代表する女性シン ガー、メイヤ。老若男女問わず誰もが知る数々の名曲を、“クリスタル・ヴォイス”と謳われたその歌声でスウェディッシュ・ポップ・チューンへ変幻させるの だが・・。

アニメイヤ~ジブリ・ソングス
メイヤ


こちら
で一部試聴できます


1. となりのトトロ (「となりのトトロ」より)
2. Arrietty’s Song (「借りぐらしのアリエッティ」より)
3. もののけ姫 (「もののけ姫」より)
4. ルージュの伝言 (「魔女の宅急便」より)
5. テルーの唄 (「ゲド戦記」より)
6. 君をのせて (「天空の城ラピュタ」より)
7. 崖の上のポニョ (「崖の上のポニョ」より)
8. 風の谷のナウシカ (「風の谷のナウシカ」より)
9. カントリー・ロード (「耳をすませば」より)
10. いつも何度でも (「千と千尋の神隠し」より)
11. 世界の約束 (「ハウルの動く城」より)

メイヤのジブリソングス集。なつかしいメイヤの歌声に惹かれるも、やや単調なアレンジの連続が、せっかくの企画をちょっと惜しい感じに。それにしても、世 はアニメソングばやり。アニソンはもはや日本のコンテンツ輸出商品ともいわれるが、まさにその時代の現れの一端なのだろう。

つづきはこちら↓
http://bit.ly/bkeF16

2010年8月22日日曜日

エピファニー/チャカ・カーン  EPIPHANY CHAKA KHAN

ただただ圧倒されるボーカル・アルバム。ジャズ・アルバムというべきなのだろうが、歌手はあのチャカ・カーン。「ベスト」と名付けられただけあって、まさ にベスト中のベスト。チャカ・カーンにとってのベストというだけでなく、女性ボーカルのまさにベストといってもいい出来。文句なしに満足度満点だ。

エピファニー EPIPHANY
チャカ・カーン CHAKA KHAN


1. エイント・ノーパデイ
2. ホット・バタフライ
3. テル・ミー・サムシング・グッド(ライヴ)
4. フィール・フォー・ユー
5. あなたに夢中
6. アイム・エヴリ・ウーマン
7. ラヴ・ミー・スティル
8. エンド・オブ・ア・ラヴ・アフェア
9. 永遠のメロデイ(チュニジアの夜)
10. スルー・ザ・フアイア
11. 恋のハプニング
12. エヴリホエア
13. ネヴァー・ミス・ザ・ウォーター
14. サムシン・ディープ
15. ユア・ラヴ・イズ・オール・アイ・ノウ
16. エヴリ・リトル・シング
17. イット・エイント・イージ・ラヴィン・ミー*Bonus Track

圧巻は、「チュニジアの夜」。すごい。ジャズナンバーでありながら、圧倒的な歌唱力にただただ敬服させられる。もちろん、心地よいグルーブ感は、 チャカ・カーンならでは。中間部のハービー・ハンコックのキーボードも素敵だし、間奏開けの彼女の強烈な高域の声は、何度聴いても、全知全能の神のよう だ。

他にも、古典的な鋭いアタックを効かせた「Ain’t Nobody」や、ターンテーブルを強調した大ヒット曲「I Feel for You」、「I’m Every Woman」のオリジナルの賛美歌ヴァージョン、ムードあふれる「Through the Fire」、ミシェル・ンデゲオチェロと共演した1996年の「You Never Miss the Water」も聴ける。とにもかくにも素晴らしいアルバム。

つづきはこちら↓
http://bit.ly/b8htIm